Selective serotonin reuptake inhibitor (SSRI) と前庭機能

「はじめに」うつ状態を伴うめまい患者に対して, SSRIを投与することでめまい症状が改善することはよく知られている. しかしながら, めまい自覚症状や心理テストなどの問診ベースの改善の報告が多く, 前庭機能の推移を検討した文献はほとんどない. また実際のどのような機序でSSRIがめまいの改善に効果があるのか不明なのが現状である. ところが下郡によると, モルモットを用いた実験によりSSRIのうち塩酸セルトラリンが直接前庭神経系に作用している可能性が示唆された. 今回, SSRIであるセルトラリン投与前後でのVestibulo-ocular reflex (VOR) を評価することで前庭神経系の...

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Published inEquilibrium Research Vol. 79; no. 1; pp. 12 - 19
Main Authors 下郡, 博明, 菅原, 一真, 清水, 謙祐, 藤井, 博則, 橋本, 誠, 山下, 裕司, 三輪, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 28.02.2020
日本めまい平衡医学会
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ISSN0385-5716
1882-577X
DOI10.3757/jser.79.12

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Summary:「はじめに」うつ状態を伴うめまい患者に対して, SSRIを投与することでめまい症状が改善することはよく知られている. しかしながら, めまい自覚症状や心理テストなどの問診ベースの改善の報告が多く, 前庭機能の推移を検討した文献はほとんどない. また実際のどのような機序でSSRIがめまいの改善に効果があるのか不明なのが現状である. ところが下郡によると, モルモットを用いた実験によりSSRIのうち塩酸セルトラリンが直接前庭神経系に作用している可能性が示唆された. 今回, SSRIであるセルトラリン投与前後でのVestibulo-ocular reflex (VOR) を評価することで前庭神経系の評価を行った. 「方法」2012年11月6日から2014年1月8日までにめまい・ふらつきを主訴に, 共同研究施設である医療法人建悠会吉田病院精神科および耳鼻咽喉科を受診し, めまい疾患およびうつ病, うつ状態と診断された患者86例のうち, 以下の4条件を満たす患者9例 (男3例, 女6例, 平均57.7歳) を対象とした.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.79.12