感染性心内膜炎に合併する細菌性脳動脈瘤の血管内治療

「はじめに」 感染性心内膜炎の中枢神経合併症は20%から40%といわれ, なかでも細菌性脳動脈瘤は, 破裂すると50%以上の高い死亡率を呈する重篤な病変である. 未破裂の場合は抗生剤治療による縮小や消失も報告されているが, 動脈瘤が増大する場合は治療を余儀なくされる. また, 弁置換など心臓手術を控えている場合は動脈瘤の処置を先行させたほうが良い場合も多い. 心不全合併率も高いため開頭手術のリスクは高い. 細菌性脳動脈瘤3例をコイル塞栓術にて治療し, うち2例ではその後弁置換術を施行して良好な予後を得た. これら3例を報告し, 細菌性脳動脈瘤に対する血管内治療について考察する. 「症例」 〈症...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 40; no. 2; pp. 112 - 116
Main Authors 原, 淑恵, 山下, 晴央, 井上, 悟志, 松本, 優, 山本, 浩隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2012
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.40.112

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Summary:「はじめに」 感染性心内膜炎の中枢神経合併症は20%から40%といわれ, なかでも細菌性脳動脈瘤は, 破裂すると50%以上の高い死亡率を呈する重篤な病変である. 未破裂の場合は抗生剤治療による縮小や消失も報告されているが, 動脈瘤が増大する場合は治療を余儀なくされる. また, 弁置換など心臓手術を控えている場合は動脈瘤の処置を先行させたほうが良い場合も多い. 心不全合併率も高いため開頭手術のリスクは高い. 細菌性脳動脈瘤3例をコイル塞栓術にて治療し, うち2例ではその後弁置換術を施行して良好な予後を得た. これら3例を報告し, 細菌性脳動脈瘤に対する血管内治療について考察する. 「症例」 〈症例1〉 74歳, 女性. 感染性心内膜炎の診断で循環器科に入院し, ペニシリン投与などの治療を受けていた. 突然の右片麻痺が出現したため頭部computed tomography (CT)を撮影したところ, 左中大脳動脈領域に脳梗塞を認めた.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.40.112