電子カルテと輸血管理システムの連携による輸血後鉄過剰症モニタリングプログラムの運用とその課題
再生不良性貧血や骨髄異形成症候群などの輸血依存状態においては,過剰鉄の臓器内沈着により造血障害,肝機能障害など様々な臓器障害をきたす.2008年には,輸血後鉄過剰症の診療ガイドが発表され,輸血後鉄過剰症の診断基準と鉄キレート療法の開始基準が明確に示された.一方,実臨床においては,患者ごとの総赤血球輸血量を正確に把握することは手間がかかり,フェリチンの測定時期や鉄キレート療法の開始のタイミングがまちまちであることが明らかになった.そこで,病院情報システム(HIS)と輸血管理部門システムの連携を図るプログラムを構築した.輸血後鉄過剰症モニタリングプログラムと名付けたこのシステムは,(1)頻回輸血患...
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 60; no. 1; pp. 12 - 17 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
28.02.2014
日本輸血・細胞治療学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1881-3011 1883-0625 |
DOI | 10.3925/jjtc.60.12 |
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Summary: | 再生不良性貧血や骨髄異形成症候群などの輸血依存状態においては,過剰鉄の臓器内沈着により造血障害,肝機能障害など様々な臓器障害をきたす.2008年には,輸血後鉄過剰症の診療ガイドが発表され,輸血後鉄過剰症の診断基準と鉄キレート療法の開始基準が明確に示された.一方,実臨床においては,患者ごとの総赤血球輸血量を正確に把握することは手間がかかり,フェリチンの測定時期や鉄キレート療法の開始のタイミングがまちまちであることが明らかになった.そこで,病院情報システム(HIS)と輸血管理部門システムの連携を図るプログラムを構築した.輸血後鉄過剰症モニタリングプログラムと名付けたこのシステムは,(1)頻回輸血患者において総赤血球輸血量が20単位,あるいは40単位を超えた時点で担当医に輸血量を伝える.(2)同時に,血清フェリチン値などの検査オーダー画面が立ち上がる.(3)フェリチン値の結果は電子カルテの表示システムに実測値として表示する,プログラムである.2012年4月からこのシステムを稼働させ,適切な輸血後鉄過剰症の診断と治療への有用性について検討を行った. |
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ISSN: | 1881-3011 1883-0625 |
DOI: | 10.3925/jjtc.60.12 |