脳幹部海綿状血管腫の手術─特に手術タイミングに関する検討

「はじめに」 脳幹部海綿状血管腫に対する直達手術は, 病変への至適アプローチ法の研究や手術機器, モニタリング技術の発達によって徐々にその適応は拡大され, 良好な治療成績が得られることが明らかになっている2)7)9)20)25)28). 本手術で留意すべきことは, 深い術野と限られた進入路のなかでも血管腫組織を残存させないことと, 新たな神経脱落症状を起こさないように脳幹実質との剥離操作を慎重に行うことであり, そのためには出血から手術までの期間によって異なる血管腫と脳幹実質との癒着あるいは血管腫自体の脆弱性の程度について正しく理解しておく必要がある16). 本疾患に対する手術アプローチや脳幹...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 41; no. 6; pp. 416 - 421
Main Authors 郭, 樟吾, 宮原, 宏輔, 谷野, 慎, 市川, 輝夫, 瓜生, 康浩, 岡田, 富, 畑岡, 峻介, 向原, 茂雄, 坂本, 雄大, 藤津, 和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2013
日本脳卒中の外科学会
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Summary:「はじめに」 脳幹部海綿状血管腫に対する直達手術は, 病変への至適アプローチ法の研究や手術機器, モニタリング技術の発達によって徐々にその適応は拡大され, 良好な治療成績が得られることが明らかになっている2)7)9)20)25)28). 本手術で留意すべきことは, 深い術野と限られた進入路のなかでも血管腫組織を残存させないことと, 新たな神経脱落症状を起こさないように脳幹実質との剥離操作を慎重に行うことであり, そのためには出血から手術までの期間によって異なる血管腫と脳幹実質との癒着あるいは血管腫自体の脆弱性の程度について正しく理解しておく必要がある16). 本疾患に対する手術アプローチや脳幹進入部位についての報告は多くみられる9)15)22)27)が, 実際の血管腫の性状や周囲実質との癒着の程度を手術時期の観点から検討したものは少ない. そこで今回当院での手術経験, 摘出病理標本から得られた知見をもとに, 本疾患の特徴について考察する.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.41.416