長期植込み後に心理的負担によってICD抜去に至った1例

心疾患の既往歴のない40歳女性.23歳時に心室細動による心肺停止後に蘇生され,特発性心室細動による二次予防目的にて患者了承の上,植込み型除細動器(ICD)植込み術を施行.その後,作動歴なく経過していた.30歳時に初回の電池交換術を施行.40歳時に2回目の電池交換術目的にて入院した際に,今後繰り返される電池交換術とICDを植込んでいることへの心理的負担が大きいことを理由に,ICD抜去希望を告げられた.複数回にわたって,抜去後に心室細動の再発や蘇生後の脳機能障害が生じる危険性,抜去術の合併症に関して医師より説明がなされたが,意思は変わらなかった.院内臨床倫理委員会の承認を得,エキシマレーザー使用下...

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Published in心電図 Vol. 39; no. 3; pp. 205 - 210
Main Authors 末廣, 英也, 木内, 邦彦, 小川, 智美, 谷口, 弥生, 田中, 秀和, 谷村, 幸亮, 永松, 裕一, 秋田, 朋己, 平田, 健一, 今田, 宙志, 兵庫, 聖大, 黒瀬, 潤, 竹本, 良, 中野, 槙介, 福沢, 公二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 31.10.2019
日本不整脈心電学会
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.39.205

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Summary:心疾患の既往歴のない40歳女性.23歳時に心室細動による心肺停止後に蘇生され,特発性心室細動による二次予防目的にて患者了承の上,植込み型除細動器(ICD)植込み術を施行.その後,作動歴なく経過していた.30歳時に初回の電池交換術を施行.40歳時に2回目の電池交換術目的にて入院した際に,今後繰り返される電池交換術とICDを植込んでいることへの心理的負担が大きいことを理由に,ICD抜去希望を告げられた.複数回にわたって,抜去後に心室細動の再発や蘇生後の脳機能障害が生じる危険性,抜去術の合併症に関して医師より説明がなされたが,意思は変わらなかった.院内臨床倫理委員会の承認を得,エキシマレーザー使用下にICD全システム抜去を行った.デバイス植込み患者に対しては,デバイス管理のみならず心理面へのサポートも必要であり,患者のみならず,家族に対する支援も求められる.患者・家族に対し,看護師も含めた多職種で継続的にサポートする体制の必要性を示唆する1例を経験したため,ここに報告する.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.39.205