脊髄くも膜下麻酔後に心停止をきたし後に洞不全症候群と診断された1例

経尿道的膀胱腫瘍切除術に対し脊髄くも膜下麻酔を施行後,手術中に心停止をきたした症例を経験した.麻酔効果消失後にも再度心停止をきたし,洞不全症候群と診断された.術前評価では脊髄くも膜下麻酔における徐脈リスク因子には該当せず,過去に不整脈・失神歴もなく徐脈リスクは低いと考えていた.しかし,高位脊髄くも膜下麻酔による心臓交感神経遮断,Bezold-Jarisch反射などの徐脈をきたす反射,今まで発症していなかった洞不全症候群の顕在化が重なり,徐脈・心停止をきたした.脊髄くも膜下麻酔において,徐脈リスクが低く術前検査に異常がない患者でも徐脈・心停止をきたす可能性に常に注意が必要である....

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 42; no. 1; pp. 32 - 35
Main Authors 山根, 亜衣, 後藤, 隆司, 寺田, 統子, 藤中, 和三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.01.2022
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.42.32

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Summary:経尿道的膀胱腫瘍切除術に対し脊髄くも膜下麻酔を施行後,手術中に心停止をきたした症例を経験した.麻酔効果消失後にも再度心停止をきたし,洞不全症候群と診断された.術前評価では脊髄くも膜下麻酔における徐脈リスク因子には該当せず,過去に不整脈・失神歴もなく徐脈リスクは低いと考えていた.しかし,高位脊髄くも膜下麻酔による心臓交感神経遮断,Bezold-Jarisch反射などの徐脈をきたす反射,今まで発症していなかった洞不全症候群の顕在化が重なり,徐脈・心停止をきたした.脊髄くも膜下麻酔において,徐脈リスクが低く術前検査に異常がない患者でも徐脈・心停止をきたす可能性に常に注意が必要である.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.42.32