気管管状切除術後の胸膜播種再発後に長期生存している気管腺様囊胞癌の1例

背景.気管腺様囊胞癌は低悪性度腫瘍で,晩期に肺転移を主とした遠隔再発をきたす.今回気管腫瘍切除後8年目に稀な再発形式である胸膜播種を示したが,その後8年間無治療で無症状に生存している1例を経験したので報告する.症例.72歳,男性.8年前に気管腺様囊胞癌に対し,気管管状切除術を行った.気管断端が病理学的に陽性であり,術後吻合部に放射線(60 Gy/30 Fr)を照射した.再発なく経過していたが,術後8年目の胸部CTで右肺S6に5 mm大の結節影を認めた.転移性肺腫瘍を疑い,肺部分切除を予定した.術中,壁側胸膜に白色結節を複数認め,生検で腺様囊胞癌の胸膜播種と診断した.有効な全身療法は少なく,高齢...

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Published in気管支学 Vol. 43; no. 1; pp. 27 - 32
Main Authors 原田, 匡彦, 比島, 恒和, 堀尾, 裕俊, 清水, 麗子, 鈴木, 幹人, 志満, 敏行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.01.2021
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.43.1_27

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Summary:背景.気管腺様囊胞癌は低悪性度腫瘍で,晩期に肺転移を主とした遠隔再発をきたす.今回気管腫瘍切除後8年目に稀な再発形式である胸膜播種を示したが,その後8年間無治療で無症状に生存している1例を経験したので報告する.症例.72歳,男性.8年前に気管腺様囊胞癌に対し,気管管状切除術を行った.気管断端が病理学的に陽性であり,術後吻合部に放射線(60 Gy/30 Fr)を照射した.再発なく経過していたが,術後8年目の胸部CTで右肺S6に5 mm大の結節影を認めた.転移性肺腫瘍を疑い,肺部分切除を予定した.術中,壁側胸膜に白色結節を複数認め,生検で腺様囊胞癌の胸膜播種と診断した.有効な全身療法は少なく,高齢のため無治療で経過観察とした.胸膜生検後8年間,胸膜播種や肺転移は緩徐な増大のみで,患者は無症状で生存している.結論.胸膜播種再発後も無治療で長期生存している気管腺様囊胞癌の1切除例を経験した.遠隔再発後の治療は定まっていないが,腫瘍の進行は緩徐であり,無治療経過観察も選択肢となる可能性がある.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.43.1_27