過敏性肺炎加療後,気管支拡張部位に生じたアレルギー性気管支肺真菌症の1例

背景.アレルギー性気管支肺真菌症は吸入した真菌に対する宿主側の2型免疫応答により生じ,無加療では肺の構造的変化を誘引しうる疾患である.症例.68歳男性.6年前に過敏性肺炎と診断し,抗原回避にて改善したが右下葉などに気管支拡張・線維化を認めていた.経過観察となり,診断前年に気管支喘息と好酸球性肺炎と診断し,ステロイド加療を行い改善した.経過観察を継続したが,CTにて右下葉の気管支拡張部分に新規浸潤陰影を認め気管支鏡検査を施行し,右下葉肺底区入口部に粘液栓を認めた.病理学的検査では粘液栓よりグロコット染色で糸状菌を認め,アレルギー性気管支肺真菌症の診断に至った.経口ステロイド薬による加療を開始した...

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Published in気管支学 Vol. 44; no. 1; pp. 59 - 63
Main Authors 平山, 寛, 安田, 有斗, 上桝, 潔, 岩嶋, 大介, 高橋, 憲一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.01.2022
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.44.1_59

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Summary:背景.アレルギー性気管支肺真菌症は吸入した真菌に対する宿主側の2型免疫応答により生じ,無加療では肺の構造的変化を誘引しうる疾患である.症例.68歳男性.6年前に過敏性肺炎と診断し,抗原回避にて改善したが右下葉などに気管支拡張・線維化を認めていた.経過観察となり,診断前年に気管支喘息と好酸球性肺炎と診断し,ステロイド加療を行い改善した.経過観察を継続したが,CTにて右下葉の気管支拡張部分に新規浸潤陰影を認め気管支鏡検査を施行し,右下葉肺底区入口部に粘液栓を認めた.病理学的検査では粘液栓よりグロコット染色で糸状菌を認め,アレルギー性気管支肺真菌症の診断に至った.経口ステロイド薬による加療を開始したところ,右下葉の陰影は改善し,ステロイド薬を漸減し終了とした.結論.気管支喘息患者において器質的異常を有する気管支部位はアレルギー性気管支肺真菌症の母地となりうることが示唆された.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.44.1_59