Le Fort Ⅰ型骨切り術を用いて切除した硬口蓋癌に対して骨造成ならびにインプラント埋入を行った1例

硬口蓋癌の手術術式として,多くは上顎部分切除や上顎亜全摘出が適応され,顎堤の欠損を伴うことが多い.今回われわれは,硬口蓋に発生した硬口蓋癌に対して,Le Fort Ⅰ型骨切り術を併用して鼻腔側から腫瘍切除術を施行した.さらに両側上顎洞底挙上術による骨造成後に,歯科インプラント(以下,インプラント)を埋入し良好な結果を得ることができた1例を報告する.患者は64歳男性.現病歴として,食事の際に口蓋部の疼痛を自覚し2015年11月に生検施行した結果,扁平上皮癌の診断を得て,2015年12月に当科紹介受診となった.硬口蓋癌の診断のため2016年1月に,Le Fort Ⅰ型骨切り術を用いることで鼻腔側よ...

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Published in日本口腔インプラント学会誌 Vol. 35; no. 2; pp. 133 - 138
Main Authors 舞田, 健夫, 関, 姫乃, 永易, 裕樹, 原田, 文也, 志茂, 剛, 高木, 浩二, 久原, 啓資, 今枝, 明子, 熊谷, 渉, 南田, 康人, 樋口, 一敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本口腔インプラント学会 30.06.2022
日本口腔インプラント学会
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ISSN0914-6695
2187-9117
DOI10.11237/jsoi.35.133

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Summary:硬口蓋癌の手術術式として,多くは上顎部分切除や上顎亜全摘出が適応され,顎堤の欠損を伴うことが多い.今回われわれは,硬口蓋に発生した硬口蓋癌に対して,Le Fort Ⅰ型骨切り術を併用して鼻腔側から腫瘍切除術を施行した.さらに両側上顎洞底挙上術による骨造成後に,歯科インプラント(以下,インプラント)を埋入し良好な結果を得ることができた1例を報告する.患者は64歳男性.現病歴として,食事の際に口蓋部の疼痛を自覚し2015年11月に生検施行した結果,扁平上皮癌の診断を得て,2015年12月に当科紹介受診となった.硬口蓋癌の診断のため2016年1月に,Le Fort Ⅰ型骨切り術を用いることで鼻腔側より腫瘍にアプローチして腫瘍切除術を施行した.さらに,インプラント支持による顎義歯を用いるため2019年7月に両側上顎洞底挙上術を施行し,骨造成を行った.2020年5月にはインプラント埋入術を施行した.両側上顎臼歯部に合計4本のインプラント体をトルク値30~35 Ncmで埋入し,十分な初期固定を得た.インプラント埋入術から半年後にヒーリングアバットメントを装着した.2021年現在,固定は良好であった.
ISSN:0914-6695
2187-9117
DOI:10.11237/jsoi.35.133