耳下腺 MRI における FIESTA-C 法を利用した顔面神経の描出と耳下腺腫瘍手術への応用

耳下腺手術において術後顔面神経麻痺は注意すべき合併症の一つである.術後顔面神経麻痺のリスクを評価する上で術前に腫瘍と顔面神経との位置関係を予測することが重要である. 今回, MRI の撮像法の一つである FIESTA-C を用いて顔面神経を描出し, 腫瘍と顔面神経との位置関係を術前に評価可能か検討した. 対象は2021年1月~2023年4月に慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室で耳下腺腫瘍に対し手術を施行した症例のうち, 術前に FIESTA-C を撮像した25例とした. 撮像範囲が不十分であった3例, アーチファクトのため評価困難であっ1例, 再発例1例, 下顎縁枝法を施行した1例は除外し,...

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Published in日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 126; no. 12; pp. 1297 - 1304
Main Authors 弓田, 健斗, 小澤, 宏之, 永井, 遼斗, 甲能, 武幸, 石川, 直明, 関水, 真理子, 御子柴, 卓弥, 藤原, 広和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 20.12.2023
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
Subjects
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ISSN2436-5793
2436-5866
DOI10.3950/jibiinkotokeibu.126.12_1297

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Summary:耳下腺手術において術後顔面神経麻痺は注意すべき合併症の一つである.術後顔面神経麻痺のリスクを評価する上で術前に腫瘍と顔面神経との位置関係を予測することが重要である. 今回, MRI の撮像法の一つである FIESTA-C を用いて顔面神経を描出し, 腫瘍と顔面神経との位置関係を術前に評価可能か検討した. 対象は2021年1月~2023年4月に慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室で耳下腺腫瘍に対し手術を施行した症例のうち, 術前に FIESTA-C を撮像した25例とした. 撮像範囲が不十分であった3例, アーチファクトのため評価困難であっ1例, 再発例1例, 下顎縁枝法を施行した1例は除外し, 19例を対象とした. 術前に医療用画像解析ソフトである Slicer を用いて腫瘍と顔面神経を描出し, 3D モデルを作成した上でその位置関係を手術所見と比較した. 年齢は平均57±11歳, 男女比は12:7, 組織型は多形腺腫が14例, ワルチン腫瘍が3例, 扁平上皮癌が1例, 基底細胞腺癌が1例であった. 腫瘍の局在は浅葉が15例, 深葉が3例, 顔面神経合併切除例が1例であった. 顔面神経本幹は全例で同定可能であり, 側頭顔面部と頸顔面部の分岐部まで評価可能であった症例は18例 (95%) であった. 腫瘍の局在は16例 (84%) で正答した. FIESTA-C は耳下腺手術での顔面神経描出や腫瘍の局在の術前評価において有用な撮像法である可能性が示唆された.
ISSN:2436-5793
2436-5866
DOI:10.3950/jibiinkotokeibu.126.12_1297