経過中に異時性重複癌を認めた早期多発肺癌の1例

背景.重喫煙は多発肺癌のみならず,肺癌を含めた重複癌のリスク因子となりうる.症例.重喫煙歴のある67歳男性.当院循環器内科で狭心症などの定期follow中であった.胸部X線異常のため,20XX年4月に当科紹介.CTにて左肺S3領域にspiculaを伴う20 mm大の結節を認めたが,縦隔リンパ節腫大や遠隔転移は認めなかった.気管支鏡検査を施行したところ,右B6入口部にも一部白色に変性する隆起性病変を認め,左右病変とも中分化扁平上皮癌であった.右病変は上皮内癌であり,転移ではなく多発早期肺癌と診断.Video-assisted thoracic surgery(VATS)にて左肺上葉切除を施行し,...

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Published in気管支学 Vol. 43; no. 1; pp. 50 - 55
Main Authors 鈴木, 雄, 生越, 貴明, 田浦, 裕輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.01.2021
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.43.1_50

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Summary:背景.重喫煙は多発肺癌のみならず,肺癌を含めた重複癌のリスク因子となりうる.症例.重喫煙歴のある67歳男性.当院循環器内科で狭心症などの定期follow中であった.胸部X線異常のため,20XX年4月に当科紹介.CTにて左肺S3領域にspiculaを伴う20 mm大の結節を認めたが,縦隔リンパ節腫大や遠隔転移は認めなかった.気管支鏡検査を施行したところ,右B6入口部にも一部白色に変性する隆起性病変を認め,左右病変とも中分化扁平上皮癌であった.右病変は上皮内癌であり,転移ではなく多発早期肺癌と診断.Video-assisted thoracic surgery(VATS)にて左肺上葉切除を施行し,右病変に対しては放射線根治照射60 Gy/17 Frを施行した.20XX+1年9月にはfluorodeoxyglucose-positron emission tomography(FDG-PET)/CTで前縦隔リンパ節に再発を認め,外科的に切除した.しかし,20XX+2年8月には食道癌・胃癌を併発した.結論.重喫煙者では多発肺癌のみでなく,異時性重複癌の発生にも十分注意すべきであり,FDG-PET/CTや消化管内視鏡検査も含めた厳重なfollow-upが望ましい.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.43.1_50