1年間経過した魚骨を全身麻酔下で摘出した気管支異物の1例

背景.長期間経過した気管支異物では,肉芽形成や異物の嵌頓により,安全な除去が困難なことがある.症例.74歳,女性.魚骨を飲み込んだ後より咳嗽が出現した.原因不明の咳として経過観察されたが,1年後に発熱,左胸部違和感を主訴に近医を受診し,肺炎として加療された.その際に胸部CTで左上葉支の途絶,左上葉無気肺が認められ,精査のため気管支鏡検査が行われた.気管支異物が認められるも除去が困難であったため,当院紹介受診となった.気管支壁は左主気管支遠位側より浮腫状で,左上下幹分岐部に魚骨と思われる異物があり,周囲の肉芽形成により,左上幹入口部は狭窄していた.気管支壁の浮腫の軽減を目的としてプレドニゾロン4...

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Published in気管支学 Vol. 44; no. 1; pp. 50 - 53
Main Authors 山田, 潤, 西村, 善博, 立原, 素子, 松村, 考, 矢谷, 敦彦, 山本, 正嗣, 桂田, 直子, 羽間, 大祐, 清水, 奈保子, 黒田, 栞
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.01.2022
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.44.1_50

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Summary:背景.長期間経過した気管支異物では,肉芽形成や異物の嵌頓により,安全な除去が困難なことがある.症例.74歳,女性.魚骨を飲み込んだ後より咳嗽が出現した.原因不明の咳として経過観察されたが,1年後に発熱,左胸部違和感を主訴に近医を受診し,肺炎として加療された.その際に胸部CTで左上葉支の途絶,左上葉無気肺が認められ,精査のため気管支鏡検査が行われた.気管支異物が認められるも除去が困難であったため,当院紹介受診となった.気管支壁は左主気管支遠位側より浮腫状で,左上下幹分岐部に魚骨と思われる異物があり,周囲の肉芽形成により,左上幹入口部は狭窄していた.気管支壁の浮腫の軽減を目的としてプレドニゾロン40 mg/日を開始し,3日後に全身麻酔下に軟性気管支鏡による異物除去を試みた.気管支壁の浮腫は改善しており,一時的に用手的により高い気道内圧と異物除去時にすることで内腔の拡張と視野の保持が得られ,鰐口鉗子で異物を把持・除去することができた.結論.プレドニゾロン投与により気管支壁の浮腫を軽減し,また全身麻酔により呼吸や咳嗽反射をコントロールし気管支内腔の拡張が得られたことで,気管支異物除去を安全に行うことができた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.44.1_50