喉頭浮腫を来すことなく安全に気管支鏡検査を実施し得た遺伝性血管性浮腫の1例

背景.遺伝性血管性浮腫(HAE)は,補体第一成分阻止因子(C1-INH)の遺伝子異常によって血管性浮腫を生じる遺伝性疾患である.心身のストレスや侵襲的な処置により介入部位付近に浮腫が生じることがあり,喉頭浮腫を来した際には致死的な転帰をたどるおそれがある.症例.42歳女性.23歳時にHAEの診断を受け,長期発作予防薬の服用を行っていた.2019年2月に原因不明の肺炎を発症し,2020年2月に肺炎像が悪化した.気管支鏡検査を行うにあたり急性発作に備えた厳重な診療態勢を構築し,短期発作予防薬を事前に投与した上で検査に臨み,有害事象なく検査を終了することができた.結語.HAEを合併した患者に行った気...

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Published in気管支学 Vol. 43; no. 1; pp. 21 - 26
Main Authors 松元, 幸一郎, 安藤, 裕之, 原田, 英治, 瓜生, 和靖, 緒方, 大聡, 篠崎, 聖兒, 坂本, 藍子, 濵田, 直樹, 井手, 真亜子, 中西, 喬之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.01.2021
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.43.1_21

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Summary:背景.遺伝性血管性浮腫(HAE)は,補体第一成分阻止因子(C1-INH)の遺伝子異常によって血管性浮腫を生じる遺伝性疾患である.心身のストレスや侵襲的な処置により介入部位付近に浮腫が生じることがあり,喉頭浮腫を来した際には致死的な転帰をたどるおそれがある.症例.42歳女性.23歳時にHAEの診断を受け,長期発作予防薬の服用を行っていた.2019年2月に原因不明の肺炎を発症し,2020年2月に肺炎像が悪化した.気管支鏡検査を行うにあたり急性発作に備えた厳重な診療態勢を構築し,短期発作予防薬を事前に投与した上で検査に臨み,有害事象なく検査を終了することができた.結語.HAEを合併した患者に行った気管支鏡検査についてはこれまでに報告例がほとんどなく,貴重な症例と考えられる.気管支鏡検査前にはあらかじめ本疾患を想起する病歴,家族歴がないか詳細に聴取する必要があるとともに,本疾患が広く認知されることを願い,ここに報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.43.1_21