腹腔鏡下胃切除術後早期に発生する胃切除後障害の性差について

【目的】胃切除後障害 (以下PGS) は, さまざまな胃機能消失により発生し, 患者QOL低下を招く. 近年, さまざまな疾患で性差が認識され, 外科領域でも合併症への性差の関与が知られているが, PGSでの性差に関する検討は少ない. 近年, Enhanced recovery after surgery (ERAS) の一環としてPGSに対し術後早期から対策を講じる重要性が高まっており, 本研究では術後早期PGSと性差との関連を検討した. 【方法】胃癌にて腹腔鏡下胃切除を行った74例 (男性52例, 女性22例) を対象に, 術前後にPGSASを用いてPGSを評価した. 【結果】1. 術前と...

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Published in外科と代謝・栄養 Vol. 52; no. 5; pp. 247 - 252
Main Authors 尾崎知博, 齊藤博昭, 河野友輔, 村上裕樹, 宍戸裕二, 黒田博彦, 福本陽二, 亀川祥子, 高梨桂, 藤岡怜子, 牧山嘉見, 藤原義之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本外科代謝栄養学会 15.10.2018
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Summary:【目的】胃切除後障害 (以下PGS) は, さまざまな胃機能消失により発生し, 患者QOL低下を招く. 近年, さまざまな疾患で性差が認識され, 外科領域でも合併症への性差の関与が知られているが, PGSでの性差に関する検討は少ない. 近年, Enhanced recovery after surgery (ERAS) の一環としてPGSに対し術後早期から対策を講じる重要性が高まっており, 本研究では術後早期PGSと性差との関連を検討した. 【方法】胃癌にて腹腔鏡下胃切除を行った74例 (男性52例, 女性22例) を対象に, 術前後にPGSASを用いてPGSを評価した. 【結果】1. 術前と比べ術後では, 食道逆流, 腹痛, 食事関連愁訴, 下痢, ダンピング, 全体症状, 食事の質, 生活不満度で有意に悪化していた. 2. 女性は男性と比べ全体症状の症状悪化度において有意に悪化していた. 3. 女性は食道逆流と全体症状の独立した症状悪化因子であった. 【結語】患者QOL向上のために早期PGSを予防あるいは軽減することが必要で, そのために性差を考慮した術式選択や栄養指導が重要と考えられた.
ISSN:0389-5564
DOI:10.11638/jssmn.52.5_247