原発不明癌頸部リンパ節転移に対する p16 免疫染色および EBER-ISH の有用性についての検討
頭頸部癌の局在診断に必要な機器の機能が向上しているにもかかわらず, 原発不明癌頸部リンパ節転移の頻度は減少していない. これには Human papilloma virus(HPV) 関連中咽頭癌が増加していることが関連していると言われている. また2017年に UICC TNM 分類が改訂となり, 頸部リンパ節転移を伴う原発不明癌の診断には頸部リンパ節の p16 免疫染色と EBV-encoded small RNA(EBER) の検査が必須となった. 今回われわれは一般診察で原発巣を特定できなかった頸部転移癌27症例に対し, 診断と治療経過を頸部リンパ節に対する免疫染色や in-situ...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 125; no. 10; pp. 1472 - 1479 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
20.10.2022
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 2436-5793 2436-5866 |
DOI | 10.3950/jibiinkotokeibu.125.10_1472 |
Cover
Summary: | 頭頸部癌の局在診断に必要な機器の機能が向上しているにもかかわらず, 原発不明癌頸部リンパ節転移の頻度は減少していない. これには Human papilloma virus(HPV) 関連中咽頭癌が増加していることが関連していると言われている. また2017年に UICC TNM 分類が改訂となり, 頸部リンパ節転移を伴う原発不明癌の診断には頸部リンパ節の p16 免疫染色と EBV-encoded small RNA(EBER) の検査が必須となった. 今回われわれは一般診察で原発巣を特定できなかった頸部転移癌27症例に対し, 診断と治療経過を頸部リンパ節に対する免疫染色や in-situ hybridization(ISH) の結果と併せて検討した. リンパ節に対する検査は p16 と Thyroid transcription factor-1 の免疫組織化学染色と, EBERのISH を行った. 27例中原発巣が判明したのは18例で, その内訳は上咽頭癌1例, 中咽頭癌12例, 下咽頭癌4例, 肺癌1例であった. 上咽頭癌症例では EBER が陽性, 中咽頭癌では全例が p16 陽性であり, バイオマーカーとしての信頼性が確認できた. また原発不明9症例では p16 陽性率が67%であった. 諸家の報告でも原発不明癌頸部リンパ節転移の p16 陽性率が高いことが示されており, 原発巣検索の際に中咽頭側壁・前壁の観察をより注意深く行う必要があると考えられた. |
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ISSN: | 2436-5793 2436-5866 |
DOI: | 10.3950/jibiinkotokeibu.125.10_1472 |