腕神経叢転移によりホルネル症候群と右上肢麻痺を来した気管腺様囊胞癌の1例

背景.気管腺様囊胞癌は気管原発の悪性腫瘍の中では比較的予後良好とされるが,肉眼的な腫瘍境界を越えて神経周囲に浸潤を来していることが少なからずある.転移様式は血行性が多いとされる.症例.73歳男性.嚥下機能低下,右上肢麻痺を主訴に前医を受診し,右側のホルネル症候群も認められたためパンコースト症候群が疑われ当科に紹介された.胸部CTで気管に径3 cmの腫瘤,及び頸部MRIにて右側C5~8,T1神経根から腕神経叢に連続する神経腫大病変が認められた.気管支鏡下に気管内腫瘤を生検し病理組織診断は腺様囊胞癌であった.腕神経叢病変の生検検体からも腺様囊胞癌が検出され,気管原発からの遠隔転移と診断した.腺様囊...

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Published in気管支学 Vol. 46; no. 2; pp. 79 - 84
Main Authors 出村, 芳樹, 黒川, 紘輔, 佐々木, 圭, 大井, 昌寛, 豊田, 裕士, 山岡, 幸司, 多田, 利彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.03.2024
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.46.2_79

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Summary:背景.気管腺様囊胞癌は気管原発の悪性腫瘍の中では比較的予後良好とされるが,肉眼的な腫瘍境界を越えて神経周囲に浸潤を来していることが少なからずある.転移様式は血行性が多いとされる.症例.73歳男性.嚥下機能低下,右上肢麻痺を主訴に前医を受診し,右側のホルネル症候群も認められたためパンコースト症候群が疑われ当科に紹介された.胸部CTで気管に径3 cmの腫瘤,及び頸部MRIにて右側C5~8,T1神経根から腕神経叢に連続する神経腫大病変が認められた.気管支鏡下に気管内腫瘤を生検し病理組織診断は腺様囊胞癌であった.腕神経叢病変の生検検体からも腺様囊胞癌が検出され,気管原発からの遠隔転移と診断した.腺様囊胞癌に対しては積極的な治療は行わず,対症療法に留める方針となり,診断から約2年後に逝去された.結論.腕神経叢に転移しホルネル症候群及び右上肢麻痺を発症した気管腺様囊胞癌の稀な症例を経験した.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.46.2_79