血液凝固第IX因子濃縮製剤へのアレルギーに対する減感作療法の有効性

血液凝固第IX因子(FIX)濃縮製剤に対する重度なアレルギーに対し,減感作療法が有効であった血友病B 2例を報告する.【症例1】9カ月男児.重症.遺伝子組換え血液凝固第IX因子(rFIX)製剤の定期補充開始後,10回投与目にアナフィラキシーを発症.【症例2】55歳男性.中等症.出血症状に対して,通算4回目の血漿由来血液凝固第IX因子濃縮製剤を投与したところ,アナフィラキシーを発症.以上の2症例に対し,rFIXによる減感作療法を実施した.【結果】2症例とも減感作療法により,FIXに対するアレルギーが消失した.減感作療法中はアレルギー反応を始めとする有害事象を認めなかった.【考察】症例2は中等症で...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 68; no. 3; pp. 422 - 427
Main Authors 岡本, 修一, 鈴木, 奈瑠子, 兼松, 毅, 岸本, 磨由子, 清井, 仁, 田村, 彰吾, 鈴木, 伸明, 松下, 正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 24.06.2022
日本輸血・細胞治療学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.68.422

Cover

More Information
Summary:血液凝固第IX因子(FIX)濃縮製剤に対する重度なアレルギーに対し,減感作療法が有効であった血友病B 2例を報告する.【症例1】9カ月男児.重症.遺伝子組換え血液凝固第IX因子(rFIX)製剤の定期補充開始後,10回投与目にアナフィラキシーを発症.【症例2】55歳男性.中等症.出血症状に対して,通算4回目の血漿由来血液凝固第IX因子濃縮製剤を投与したところ,アナフィラキシーを発症.以上の2症例に対し,rFIXによる減感作療法を実施した.【結果】2症例とも減感作療法により,FIXに対するアレルギーが消失した.減感作療法中はアレルギー反応を始めとする有害事象を認めなかった.【考察】症例2は中等症であり,アレルギーの発症リスクが低い症例であったが,アナフィラキシーを発症し,中等症でも注意が必要であると考えられた.2症例共にアナフィラキシー発症前後に感度以下の弱力価インヒビターの存在が疑われたことから,インヒビターの発症に注意することはアナフィラキシーの発症予測につながる可能性が示唆された.減感作療法の治療プロトコールについては最適化されておらず,更なる検討が必要であると考えられた.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.68.422