気管支鏡検査で診断した間質性肺炎に合併した浸潤性粘液性腺癌の1例

背景.間質性肺炎患者には肺癌の合併頻度が高いことが知られている.浸潤性粘液性腺癌(invasive mucinous adenocarcinoma;IMA)は肺炎様の浸潤影を呈することが多く,間質性肺炎に合併した場合に画像的な鑑別が難しいことがある.症例.症例は77歳の男性.近医で間質性陰影を指摘されて当院を紹介受診し,特発性肺線維症と診断した.間質性肺炎像の一部に浸潤影を認めており間質性肺炎の線維化像とも思えたが,何らかの合併症の可能性も考えた.6か月の経過観察で左上葉の浸潤影が増悪した.増悪の経過が早いことから感染症や肺癌の合併を疑い気管支鏡検査を行った.左B4で実施した経気管支肺生検の結...

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Published in気管支学 Vol. 46; no. 1; pp. 54 - 58
Main Authors 野沢, 修平, 柳沢, 克也, 吉池, 文明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.01.2024
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.46.1_54

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Summary:背景.間質性肺炎患者には肺癌の合併頻度が高いことが知られている.浸潤性粘液性腺癌(invasive mucinous adenocarcinoma;IMA)は肺炎様の浸潤影を呈することが多く,間質性肺炎に合併した場合に画像的な鑑別が難しいことがある.症例.症例は77歳の男性.近医で間質性陰影を指摘されて当院を紹介受診し,特発性肺線維症と診断した.間質性肺炎像の一部に浸潤影を認めており間質性肺炎の線維化像とも思えたが,何らかの合併症の可能性も考えた.6か月の経過観察で左上葉の浸潤影が増悪した.増悪の経過が早いことから感染症や肺癌の合併を疑い気管支鏡検査を行った.左B4で実施した経気管支肺生検の結果,病理学的にIMAと診断し,抗癌剤治療を開始している.結論.間質性肺炎の患者では肺癌の合併を常に念頭に置くべきであり,特にIMAでは肺炎様の浸潤影を呈するため,間質性肺炎に合併した場合には画像的に鑑別が難しいことに留意するべきである.間質性肺炎に強い浸潤影が混在していた場合,積極的に気管支鏡検査を行うべきである.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.46.1_54