耳下腺再発多形腺腫例の臨床的検討 : 単一施設における48例の検討
耳下腺再発多形腺腫では術創が瘢痕化しており, 顔面神経の同定や保護が難しく手術は容易ではない. 患者は術後顔面神経麻痺の頻度や程度を考慮したうえで手術を決断することが多い. 本検討は再発多形腺腫症例の臨床的特徴を捉え, 特に術後顔面神経麻痺になる要因について検討することを目的とした. 過去25年間に手術加療を行った耳下腺再発多形腺腫48例 (良性42例, 悪性6例) を対象とした. 良性例と悪性例の臨床像の比較,初回手術と再発手術の比較, 術後顔面神経麻痺の有無と臨床像の関係, 手術術式別の臨床像について検討した. 悪性では良性と比較して腫瘍最大径が大きく, 単発性の症例が多かった. 再発手術...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 127; no. 12; pp. 1227 - 1233 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
20.12.2024
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 |
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Summary: | 耳下腺再発多形腺腫では術創が瘢痕化しており, 顔面神経の同定や保護が難しく手術は容易ではない. 患者は術後顔面神経麻痺の頻度や程度を考慮したうえで手術を決断することが多い. 本検討は再発多形腺腫症例の臨床的特徴を捉え, 特に術後顔面神経麻痺になる要因について検討することを目的とした. 過去25年間に手術加療を行った耳下腺再発多形腺腫48例 (良性42例, 悪性6例) を対象とした. 良性例と悪性例の臨床像の比較,初回手術と再発手術の比較, 術後顔面神経麻痺の有無と臨床像の関係, 手術術式別の臨床像について検討した. 悪性では良性と比較して腫瘍最大径が大きく, 単発性の症例が多かった. 再発手術は初回手術と比較して腫瘍最大径が小さいにもかかわらず, 手術時間が長く, 術後永久顔面神経麻痺率が高く, 手術の難易度が高いことが分かった. 再発症例の術後永久麻痺例は一時麻痺/麻痺例と比べて, 腫瘍径が大きく, 多発性であり, 深葉へ進展している症例が多かった. 多発症例や深葉進展症例に対する手術様式としては全摘 ・ 亜全摘が葉部分切除や被膜外摘出術より多かった. 永久麻痺率は全摘/亜全摘では83.3%と高頻度であった. 再発腫瘍の個数, 局在や進展から, 施行すべき術式が決定でき, その結果術後顔面神経麻痺率を推定できることが分かった. これらの結果は再発多形腺腫の治療方針や患者説明の重要な参考資料になると考えられた. |
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ISSN: | 2436-5793 2436-5866 |
DOI: | 10.3950/jibiinkotokeibu.127.12_1227 |