上顎インプラントオーバーデンチャーのエビデンス
下顎無歯顎患者に対する2-IOD(インプラントオーバーデンチャー)に明確なコンセンサスが得られている一方で,上顎無歯顎患者に対するインプラントオーバーデンチャー(IOD)についてはまだ明確なコンセンサスは得られていない.上顎IODに関する臨床研究はまだ非常に数が少ないが,1997年から2009年までの初期に発表された論文では残存率が61~84%と低い傾向が認められる.これは,機械研磨のインプラントが使用されていたことが原因であったと推察される.2013年以降,4-IODと6-IODを比較した無作為化臨床研究では,両介入に有意差が認められなかったことが報告された.また,2019年以降,インプラン...
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Published in | 日本口腔インプラント学会誌 Vol. 36; no. 3; pp. 146 - 150 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
30.09.2023
日本口腔インプラント学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0914-6695 2187-9117 |
DOI | 10.11237/jsoi.36.146 |
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Summary: | 下顎無歯顎患者に対する2-IOD(インプラントオーバーデンチャー)に明確なコンセンサスが得られている一方で,上顎無歯顎患者に対するインプラントオーバーデンチャー(IOD)についてはまだ明確なコンセンサスは得られていない.上顎IODに関する臨床研究はまだ非常に数が少ないが,1997年から2009年までの初期に発表された論文では残存率が61~84%と低い傾向が認められる.これは,機械研磨のインプラントが使用されていたことが原因であったと推察される.2013年以降,4-IODと6-IODを比較した無作為化臨床研究では,両介入に有意差が認められなかったことが報告された.また,2019年以降,インプラントの連結,非連結を比較した臨床研究から有意差が認められなかったことが報告された.これまでの報告から,上顎IODは4本のスタンダードインプラントが基本とされており,上下無歯顎の場合,連結/非連結に有意差は認められないが,対合が天然歯または固定性補綴装置が装着されている場合,連結にしたほうが良い可能性が高いと考えられる.また,上顎IARPDに関しては,いまだエビデンスの蓄積が必要な分野である. |
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ISSN: | 0914-6695 2187-9117 |
DOI: | 10.11237/jsoi.36.146 |