当院における妊産婦の不規則抗体検出とHDFN発生状況,妊娠回数との関連性についての考察

妊産婦は児赤血球抗原に対するIgG型同種抗体を産生することがあり,胎児・新生児溶血性疾患(HDFN)の原因となりうるため,妊産婦の不規則抗体検査は重要である.当院の不規則抗体検査数は10年間で延べ9,029件に達し,妊産婦6,516名中47名に抗体が確認された.全員RhD陽性者であり,検出された抗体は抗Eが全体の29.8%を占め,次いで抗Lea 23.4%,抗Jra 12.8%の順であった.6名が複数抗体を保有し,内3名は抗E+抗cであった.37名において,妊娠回数と検出抗体との関連性の解析ができ,妊娠1回目の妊産婦(16名)では,62.5%が冷式抗体やLewis関連抗体を保有していたが,全例...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 69; no. 3; pp. 442 - 447
Main Authors 横田, 晶子, 高梨, 丈治, 田近, 賢二, 原, 優子, 比嘉, 聖菜, 中山, 一隆, 佐藤, 真由美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 26.06.2023
日本輸血・細胞治療学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.69.442

Cover

More Information
Summary:妊産婦は児赤血球抗原に対するIgG型同種抗体を産生することがあり,胎児・新生児溶血性疾患(HDFN)の原因となりうるため,妊産婦の不規則抗体検査は重要である.当院の不規則抗体検査数は10年間で延べ9,029件に達し,妊産婦6,516名中47名に抗体が確認された.全員RhD陽性者であり,検出された抗体は抗Eが全体の29.8%を占め,次いで抗Lea 23.4%,抗Jra 12.8%の順であった.6名が複数抗体を保有し,内3名は抗E+抗cであった.37名において,妊娠回数と検出抗体との関連性の解析ができ,妊娠1回目の妊産婦(16名)では,62.5%が冷式抗体やLewis関連抗体を保有していたが,全例で抗体価が8倍以下であった.妊娠2回~4回以上の妊産婦(21名)では,Rh関連抗体が76.2%を占め,42.9%が抗体価16倍以上であった.今回検討した抗体保有妊産婦のうち,1例がHDFNを発症した.本症例の第2子妊娠時に検出された抗C+抗e抗体価は,第三子出産時に検出感度以下となっていたことから,これら以外の抗体の関与が考えられ,ABO血液型不適合が原因であることが確認された.以上より,不規則抗体検査及び抗体価測定を定期的に実施することにより,HDFN症例に迅速な対応ができると考えられた.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.69.442