悪液質の進展を念頭においた担がん患者の栄養サポート

「I はじめに」悪液質は慢性疾患による炎症を背景とした骨格筋量の減少を主徴とする複合的な代謝異常の症候群で, 多くのがん患者がこの状態に陥る. 代謝異常の程度により栄養サポートの目的や方法も変化するため, がん患者の適切な栄養サポートには悪液質を念頭においた栄養管理が不可欠である. がんの進展に伴う代謝異常が高度になると, いったん低下した体重や筋肉量の回復は次第に困難となるため, 栄養不良の進行を未然に防ぐことが重要となる. また, さらに代謝異常が高度となると, 人工的な栄養投与が生活の質 (以下QOL) を悪化させるため, 慎重な管理が求められる. Evansらによる悪液質の定義が発表さ...

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Published in外科と代謝・栄養 Vol. 52; no. 5; pp. 233 - 239
Main Author 森直治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本外科代謝栄養学会 15.10.2018
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Summary:「I はじめに」悪液質は慢性疾患による炎症を背景とした骨格筋量の減少を主徴とする複合的な代謝異常の症候群で, 多くのがん患者がこの状態に陥る. 代謝異常の程度により栄養サポートの目的や方法も変化するため, がん患者の適切な栄養サポートには悪液質を念頭においた栄養管理が不可欠である. がんの進展に伴う代謝異常が高度になると, いったん低下した体重や筋肉量の回復は次第に困難となるため, 栄養不良の進行を未然に防ぐことが重要となる. また, さらに代謝異常が高度となると, 人工的な栄養投与が生活の質 (以下QOL) を悪化させるため, 慎重な管理が求められる. Evansらによる悪液質の定義が発表されおよそ10年が経過し, その後に発表されたFearonらによるがんを対象とした悪液質の定義とともに, これらは標準的な悪液質の定義として世界的に用いられている.
ISSN:0389-5564
DOI:10.11638/jssmn.52.5_233