高度側弯患者の特殊な超音波解剖をプレスキャンにより確認して安全に末梢神経ブロックを施行した1例

腹直筋鞘ブロックの際に注意すべき血管は,同じ腹直筋鞘内を走行する上下腹壁動静脈である.今回われわれは,脳性麻痺患者に対する腹腔鏡下胃瘻造設術の麻酔管理で,右腹直筋直下に腹部大動脈を認め,同側の腹直筋鞘ブロックを回避した症例を経験した.右側への高度側弯とるいそうにより椎体が体表から触知可能であり,後腹膜にある腹部大動脈が椎体とともに右腹直筋直下まで隆起したと考えられた.高度側弯がある患者は,臓器や脈管の位置が体表解剖学とは大きく異なる場合があるため,末梢神経ブロック施行時の入念なプレスキャンが必要である....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 41; no. 1; pp. 54 - 57
Main Author 伊藤, 秀和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.01.2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.41.54

Cover

More Information
Summary:腹直筋鞘ブロックの際に注意すべき血管は,同じ腹直筋鞘内を走行する上下腹壁動静脈である.今回われわれは,脳性麻痺患者に対する腹腔鏡下胃瘻造設術の麻酔管理で,右腹直筋直下に腹部大動脈を認め,同側の腹直筋鞘ブロックを回避した症例を経験した.右側への高度側弯とるいそうにより椎体が体表から触知可能であり,後腹膜にある腹部大動脈が椎体とともに右腹直筋直下まで隆起したと考えられた.高度側弯がある患者は,臓器や脈管の位置が体表解剖学とは大きく異なる場合があるため,末梢神経ブロック施行時の入念なプレスキャンが必要である.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.41.54