気管切開後に自然寛解した特発性気管狭窄の1例
背景.特発性気管狭窄は,原因不明の希少疾患で,治療法は確立されていない.内視鏡的治療や外科的治療は,再発率が高く声帯機能の温存が難しいことが指摘されている.症例.49歳女性.6か月間呼吸困難を感じていた.初診時に吸気性喘鳴を聴取した.気管支鏡で声帯下2 cmの部位に全周性の気管狭窄を認めた.気道確保のため,狭窄遠位側で気管切開を行った.気管切開後に行った狭窄部の生検で,炎症細胞浸潤を伴う非特異的な線維性組織を認めた.気管狭窄を来す他の疾患は否定的であり,特発性気管狭窄と診断した.2か月後,再入院し気管支鏡を行ったところ,気管狭窄は自然軽快していたため,根治術は行わなかった.さらに2か月後,気管...
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Published in | 気管支学 Vol. 44; no. 1; pp. 27 - 32 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
25.01.2022
日本呼吸器内視鏡学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.44.1_27 |
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Summary: | 背景.特発性気管狭窄は,原因不明の希少疾患で,治療法は確立されていない.内視鏡的治療や外科的治療は,再発率が高く声帯機能の温存が難しいことが指摘されている.症例.49歳女性.6か月間呼吸困難を感じていた.初診時に吸気性喘鳴を聴取した.気管支鏡で声帯下2 cmの部位に全周性の気管狭窄を認めた.気道確保のため,狭窄遠位側で気管切開を行った.気管切開後に行った狭窄部の生検で,炎症細胞浸潤を伴う非特異的な線維性組織を認めた.気管狭窄を来す他の疾患は否定的であり,特発性気管狭窄と診断した.2か月後,再入院し気管支鏡を行ったところ,気管狭窄は自然軽快していたため,根治術は行わなかった.さらに2か月後,気管狭窄は全周性に寛解していたため気管孔を閉鎖した.以後3年間再狭窄を認めていない.結論.本症例は,気管切開下での自然寛解を期待した経過観察が,特発性気管狭窄の治療選択肢の一つとなり得る可能性を示した. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.44.1_27 |