顎骨再建後に電鋳テレスコープ義歯を用いた補綴症例
腫瘍切除後に腸骨移植による顎骨再建を行い,電鋳テレスコープ義歯により口腔機能の回復を行い,長期にわたり観察を行った症例を経験したので報告する.患者は31歳女性.物が咬めないという主訴にて受診した.下顎骨病変が疑われたため,抜歯と同時に生検を行ったところ,骨線維腫病変の疑いと診断された.腫瘍切除後,チタンメッシュトレーと腸骨による下顎骨再建術を施行し,腸骨移植部にインプラント埋入手術を行った.補綴装置の設計として,一次構造体にバーフレームを選択し,暫間補綴装置を仮着,咬合の安定を確認し,最終的に電鋳テレスコープ義歯を装着,経過観察を行った.最終補綴装置が装着され15年が経過したが,インプラント周...
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Published in | 日本口腔インプラント学会誌 Vol. 34; no. 3; pp. 227 - 234 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
30.09.2021
日本口腔インプラント学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0914-6695 2187-9117 |
DOI | 10.11237/jsoi.34.227 |
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Summary: | 腫瘍切除後に腸骨移植による顎骨再建を行い,電鋳テレスコープ義歯により口腔機能の回復を行い,長期にわたり観察を行った症例を経験したので報告する.患者は31歳女性.物が咬めないという主訴にて受診した.下顎骨病変が疑われたため,抜歯と同時に生検を行ったところ,骨線維腫病変の疑いと診断された.腫瘍切除後,チタンメッシュトレーと腸骨による下顎骨再建術を施行し,腸骨移植部にインプラント埋入手術を行った.補綴装置の設計として,一次構造体にバーフレームを選択し,暫間補綴装置を仮着,咬合の安定を確認し,最終的に電鋳テレスコープ義歯を装着,経過観察を行った.最終補綴装置が装着され15年が経過したが,インプラント周囲の炎症や動揺は認められず,パノラマエックス線,歯科用コーンビームCT画像よりインプラント周囲の異常な骨吸収は認められなかった.補綴装置の満足度評価では総合的に高い満足感が得られ,補綴装置の維持力も正常に発揮され,長期間にわたり良好な口腔機能を維持することができている. |
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ISSN: | 0914-6695 2187-9117 |
DOI: | 10.11237/jsoi.34.227 |