外傷性三尖弁閉鎖不全症に対する弁置換術後の巨大右房に生じた心房頻拍にカテーテルアブレーションを行った1例

抗不整脈薬抵抗性の症候性心房頻拍(AT)に対するカテーテルアブレーション(CA)目的にて,44歳女性が当院へ紹介入院となった.患者は,15歳時に交通事故による鈍的胸部外傷を受けた.その後三尖弁閉鎖不全症(TR)を併発し,18歳・19歳・26歳で三尖弁置換術(TVR)を計3度受けている.術後数年目から患者はATによる動悸を訴えるようになった.心臓超音波検査と右房造影にて巨大右房が認められた.電気生理学的検査では,プログラム刺激により5種類の形状のATが容易に誘発された.そのうち3種類でマッピングが可能であり,1種類は8の字様のマクロリエントリー,2種類は巣状パターンのミクロリエントリーを示した....

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Published in心電図 Vol. 33; no. 1; pp. 74 - 81
Main Authors 渡邉, 智彦, 深水, 誠二, 赤澤, 良太, 名内, 雅宏, 西村, 卓郎, 北村, 健, 岩澤, 仁, 島田, 博史, 石川, 妙, 北條, 林太郎, 林, 武邦, 小宮山, 浩大, 田辺, 康宏, 手島, 保, 櫻田, 春水
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2013
日本心電学会
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Summary:抗不整脈薬抵抗性の症候性心房頻拍(AT)に対するカテーテルアブレーション(CA)目的にて,44歳女性が当院へ紹介入院となった.患者は,15歳時に交通事故による鈍的胸部外傷を受けた.その後三尖弁閉鎖不全症(TR)を併発し,18歳・19歳・26歳で三尖弁置換術(TVR)を計3度受けている.術後数年目から患者はATによる動悸を訴えるようになった.心臓超音波検査と右房造影にて巨大右房が認められた.電気生理学的検査では,プログラム刺激により5種類の形状のATが容易に誘発された.そのうち3種類でマッピングが可能であり,1種類は8の字様のマクロリエントリー,2種類は巣状パターンのミクロリエントリーを示した.それらのATにCAを施行した.その後,前回誘発された頻拍とは異なる頻拍の再発があり,2回目の治療を行った.2種類のATにCAを行い,頻拍は誘発されなくなった.以後,約1.5年にわたり動悸発作なく経過している.これまで鈍的胸部外傷後のTVRの報告はあるが,合併したATに対しCAを行った報告は,われわれの知る限りでは本症例が初めてである.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.33.74