シロスタゾール投与によるくも膜下出血後水頭症の発生抑制の可能性

「はじめに」くも膜下出血後に, 遅発性水頭症が生じることはよく知られた合併症である. その発生率は, 8.9-48%と報告されている. くも膜下出血後水頭症が生じた場合, 脳室腹腔短絡術により神経症状のある程度の改善がみられるが, 一方で, 脳室腹腔短絡術を行った群では行わなかった群と比較し, 機能予後が不良であることが報告されている. さらに, 脳室腹腔短絡術では, 術後の閉塞や感染などのトラブルで1年以内に再建を要する例が35-50%あるといわれており, くも膜下出血後水頭症の場合には6カ月間に42%の再建を要したとの報告もある. したがって, くも膜下出血後水頭症は, 機能予後的にも医療...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 45; no. 1; pp. 14 - 18
Main Authors 当麻, 直樹, 阪井田, 博司, 安田, 竜太, 中塚, 慶徳, 梅田, 靖之, 川北, 文博, 鈴木, 秀謙
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2017
日本脳卒中の外科学会
Subjects
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.45.14

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Summary:「はじめに」くも膜下出血後に, 遅発性水頭症が生じることはよく知られた合併症である. その発生率は, 8.9-48%と報告されている. くも膜下出血後水頭症が生じた場合, 脳室腹腔短絡術により神経症状のある程度の改善がみられるが, 一方で, 脳室腹腔短絡術を行った群では行わなかった群と比較し, 機能予後が不良であることが報告されている. さらに, 脳室腹腔短絡術では, 術後の閉塞や感染などのトラブルで1年以内に再建を要する例が35-50%あるといわれており, くも膜下出血後水頭症の場合には6カ月間に42%の再建を要したとの報告もある. したがって, くも膜下出血後水頭症は, 機能予後的にも医療経済的にも大きな問題となっており, その発生を抑制する方法を見出すことは重要と考える. 今回, われわれはシロスタゾール投与が, くも膜下出血患者において脳室腹腔短絡術の必要性を減少させるか, 後方視的に検討した.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.45.14