物理的環境ストレスが誘発する内耳障害

「はじめに」騒音は音量(デシベル;dB)と周波数(ヘルツ;Hz)により表される物理的環境因子である. ヒトの可聴域(20~20,000Hz)とマウスの可聴域(1,000~40,000Hz)は部分的に重なるが, 騒音性難聴が誘発される聴覚障害のリスクは主にヒトの可聴域音の音量により評価されている. 近年, エコキュートや風力発電, あるいは空調機器の室外機など様々な機器から発生している低周波騒音が社会問題となっている. しかしながら, 周波数の要素も加えて評価した騒音の健康リスクの情報は限られている. 本稿では, 内耳機能に影響を与える物理的環境因子として騒音を取り上げ, 騒音が誘発する健康リス...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 72; no. 1; pp. 38 - 42
Main Authors 大神, 信孝, 押野, 玲奈, 二宮, 裕将, 李, 香, 加藤, 昌志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本衛生学会 2017
日本衛生学会
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Summary:「はじめに」騒音は音量(デシベル;dB)と周波数(ヘルツ;Hz)により表される物理的環境因子である. ヒトの可聴域(20~20,000Hz)とマウスの可聴域(1,000~40,000Hz)は部分的に重なるが, 騒音性難聴が誘発される聴覚障害のリスクは主にヒトの可聴域音の音量により評価されている. 近年, エコキュートや風力発電, あるいは空調機器の室外機など様々な機器から発生している低周波騒音が社会問題となっている. しかしながら, 周波数の要素も加えて評価した騒音の健康リスクの情報は限られている. 本稿では, 内耳機能に影響を与える物理的環境因子として騒音を取り上げ, 騒音が誘発する健康リスクについて筆者らの実験研究の成果もまじえて紹介したい. 「内耳の構造」側頭骨内に存在する内耳は, 聴覚に必須の蝸牛, および平衡感覚に重要な前庭や半規管から成る感覚器である. 蝸牛の内部には中央階と呼ばれる管状の渦巻き構造が存在し, その管内にコルチ器が存在する.
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.72.38