骨芽細胞のwound healingにおける非受容体型チロシンキナーゼの関与

Src family kinase(SFK)は,細胞の分化,形態形成,運動に関与するなど,多彩な機能をもつ非受容体型チロシンキナーゼである.ノックアウトマウスを用いた実験からSrcは破骨細胞の機能発現に不可欠であることは知られているが,SFKの骨芽細胞における機能はほとんど知られていない.今回,我々は,骨芽細胞の増殖,遊走に対するSFKの関与を明らかにするために,骨芽細胞株MC3T3-E1のwound healingに,SFK阻害剤であるPP2添加が及ぼす影響を検討した.Wound healing assay では,PP2添加によりwound healing は抑制されたが,細胞増殖活性には影...

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Published in日本再生歯科医学会誌 Vol. 4; no. 1; pp. 3 - 14
Main Authors 堂前, 英資, 池尾, 隆, 合田, 征司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本再生歯科医学会 2006
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ISSN1348-9615
1880-0815
DOI10.11223/jard.4.3

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Summary:Src family kinase(SFK)は,細胞の分化,形態形成,運動に関与するなど,多彩な機能をもつ非受容体型チロシンキナーゼである.ノックアウトマウスを用いた実験からSrcは破骨細胞の機能発現に不可欠であることは知られているが,SFKの骨芽細胞における機能はほとんど知られていない.今回,我々は,骨芽細胞の増殖,遊走に対するSFKの関与を明らかにするために,骨芽細胞株MC3T3-E1のwound healingに,SFK阻害剤であるPP2添加が及ぼす影響を検討した.Wound healing assay では,PP2添加によりwound healing は抑制されたが,細胞増殖活性には影響しなかった.ウエスタンブロッティング法による細胞内シグナル伝達分子の検討では,PP2添加によりAKT,ERK1/2のリン酸化が阻害された.また,PI3-kinase(PI3K)の阻害剤であるLY294002添加でwound healing は抑制された.  以上のことから,MC3T3-E1の遊走にはSFKとPI3Kが関与することが示唆された.
ISSN:1348-9615
1880-0815
DOI:10.11223/jard.4.3