往復運動映像観視における重心動揺の時間特徴解析

「1. はじめに」人の姿勢制御は, 視覚系, 平衡感覚系, 体性感覚系のそれぞれの情報を脳内で統合し, 自己の位置, 体位, そして向きの情報を随時全身にフィードバックすることで恒常性を維持しながら行われている. Edwardsによると, 姿勢制御に関わる情報のうち, 視覚系情報は50%程度を占めると報告されており, 特に姿勢制御に及ぼす影響が大きいとされる. 視覚情報が姿勢制御に及ぼす影響の一例として, 物体が運動している映像を観視し続けることで, 物体の運動方向とは逆方向に自己が動き出すような(傾いている)錯覚に陥ることがある. この現象は視覚誘導性自己運動感(以下:Vection)と呼ば...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 71; no. 1; pp. 19 - 29
Main Authors 松本, 千佳, 杉浦, 明弘, 宮尾, 克, 田中, 邦彦, 若田部, 駿
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本衛生学会 2016
日本衛生学会
Subjects
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ISSN0021-5082
1882-6482
DOI10.1265/jjh.71.19

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Summary:「1. はじめに」人の姿勢制御は, 視覚系, 平衡感覚系, 体性感覚系のそれぞれの情報を脳内で統合し, 自己の位置, 体位, そして向きの情報を随時全身にフィードバックすることで恒常性を維持しながら行われている. Edwardsによると, 姿勢制御に関わる情報のうち, 視覚系情報は50%程度を占めると報告されており, 特に姿勢制御に及ぼす影響が大きいとされる. 視覚情報が姿勢制御に及ぼす影響の一例として, 物体が運動している映像を観視し続けることで, 物体の運動方向とは逆方向に自己が動き出すような(傾いている)錯覚に陥ることがある. この現象は視覚誘導性自己運動感(以下:Vection)と呼ばれ, 視覚系情報と姿勢制御の関連性を示す重要な現象である. VectionはFischer et al.によってその現象が確認されて以来, 特に実験心理学の分野を中心に多様な検証が行われてきた. 具体的に列挙すると, 映像運動の方向, 映像運動の速度, 周辺視および中心視の役割, 映像内に前景と背景を設置した場合におけるその関連性, 両眼立体視の影響, 教唆の影響などが行われている.
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.71.19