甲状腺機能亢進症治療後に完全房室ブロックの改善を認めた1例

症例は81歳,女性.甲状腺機能亢進症に対するチアマゾール中止から4ヵ月後,呼吸困難感が出現し,近医にて完全房室ブロックを認めたため,当院紹介受診.来院時,心電図では心房細動を伴う完全房室ブロックを認めたが,入院直後に消失したため,精査後にペースメーカーの適応を検討する方針とした.甲状腺機能亢進症のコントロールが不良であったため,チアマゾールで治療した.完全房室ブロックの原因として,冠動脈造影では冠動脈狭窄所見を認めず,両心カテーテル検査では,大動脈弁狭窄症や右心負荷所見は認めなかった.また,電気生理学的検査ではHV伝導遅延も認めなかったため,ペースメーカーの適応はないと考えた.その後,甲状腺機...

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Published in心電図 Vol. 35; no. 1; pp. 24 - 30
Main Authors 小寺, 聡, 平田, 哲, 石脇, 光, サッキャ, サンディープ, 佐藤, 寿俊, 神田, 順二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2015
日本心電学会
Subjects
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.35.24

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Summary:症例は81歳,女性.甲状腺機能亢進症に対するチアマゾール中止から4ヵ月後,呼吸困難感が出現し,近医にて完全房室ブロックを認めたため,当院紹介受診.来院時,心電図では心房細動を伴う完全房室ブロックを認めたが,入院直後に消失したため,精査後にペースメーカーの適応を検討する方針とした.甲状腺機能亢進症のコントロールが不良であったため,チアマゾールで治療した.完全房室ブロックの原因として,冠動脈造影では冠動脈狭窄所見を認めず,両心カテーテル検査では,大動脈弁狭窄症や右心負荷所見は認めなかった.また,電気生理学的検査ではHV伝導遅延も認めなかったため,ペースメーカーの適応はないと考えた.その後,甲状腺機能亢進症の治療のみ行い,4ヵ月の経過観察中に房室ブロックや心不全徴候を認めていない.本症例では,甲状腺機能亢進症に対する十分な治療により,完全房室ブロックが改善した.完全房室ブロックのまれな原因として,甲状腺機能亢進症があることを示す興味深い1例であった.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.35.24