Cone-beam CTが有用であったもやもや病穿通枝動脈瘤の塞栓術 ─症例報告

症例は突然の意識障害と右片麻痺で発症した25歳女性で,CTで左視床出血と脳室拡大を認めた.DSAでもやもや病により発達した右後視床穿通動脈に微小脳動脈瘤を認めた.同時に行ったcone-beam CT(CBCT)で右後視床穿通動脈近位の屈曲と遠位に後脈絡叢動脈との吻合が描出された.微小脳動脈瘤の塞栓術において,母血管温存が困難と予想された.術前側副血行路の存在が確認できたため,続いて再破裂予防の脳血管内治療を行った.カテーテルは右後視床穿通動脈に誘導できたが,同近位部の屈曲のため瘤内へアプローチできず,瘤内コイル塞栓は断念した.瘤遠位の右後視床穿通動脈の側副血行をCBCTであらためて確認した後,...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 51; no. 5; pp. 453 - 457
Main Authors 中村, 歩希, 小林, 博雄, 寺田, 友昭, 久代, 裕一郎, 田中, 雄一郎, 大島, 幸亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2023
日本脳卒中の外科学会
Subjects
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.51.453

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Summary:症例は突然の意識障害と右片麻痺で発症した25歳女性で,CTで左視床出血と脳室拡大を認めた.DSAでもやもや病により発達した右後視床穿通動脈に微小脳動脈瘤を認めた.同時に行ったcone-beam CT(CBCT)で右後視床穿通動脈近位の屈曲と遠位に後脈絡叢動脈との吻合が描出された.微小脳動脈瘤の塞栓術において,母血管温存が困難と予想された.術前側副血行路の存在が確認できたため,続いて再破裂予防の脳血管内治療を行った.カテーテルは右後視床穿通動脈に誘導できたが,同近位部の屈曲のため瘤内へアプローチできず,瘤内コイル塞栓は断念した.瘤遠位の右後視床穿通動脈の側副血行をCBCTであらためて確認した後,右後視床穿通動脈近位部を閉塞した.術後虚血性合併症なく脳室腹腔短絡術後に独歩退院した.側副血行路が密集していてもcone-beam CTを用いることで動脈瘤と吻合血管の血管構築を精細に評価できた.合理的な治療戦略を立てるうえでcone-beam CTはとても有用であった.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.51.453