中大脳動脈瘤の塞栓術は必要か? ─未破裂中大脳動脈瘤塞栓術の適応と有用性について

「はじめに」中大脳動脈(middle cerebral artery:MCA)瘤は, すべてのウィリス輪動脈瘤の中で最も脳表に近く, 開頭によるアプローチが容易であるため, 従来の血管内治療による根治性の問題も勘案して, クリッピング術が選択されやすい傾向であった. 特に血腫を伴う破裂瘤においては, 血腫除去とともに根治的治療を行うことはコンセンサスである. 実際これまでの傾向でも, 9割以上のMCA瘤が開頭クリッピングにより治療されている. しかしながら, 未破裂動脈瘤については, ほとんどのbifurcation瘤において, 分枝のうちの1本が動脈瘤のネックまたはそれよりドーム側から起始す...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 49; no. 5; pp. 351 - 356
Main Authors 大島, 共貴, 川口, 礼雄, 泉, 孝嗣, 平松, 亮, 松原, 功明, 宮地, 茂, 松尾, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2021
日本脳卒中の外科学会
Subjects
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.49.351

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Summary:「はじめに」中大脳動脈(middle cerebral artery:MCA)瘤は, すべてのウィリス輪動脈瘤の中で最も脳表に近く, 開頭によるアプローチが容易であるため, 従来の血管内治療による根治性の問題も勘案して, クリッピング術が選択されやすい傾向であった. 特に血腫を伴う破裂瘤においては, 血腫除去とともに根治的治療を行うことはコンセンサスである. 実際これまでの傾向でも, 9割以上のMCA瘤が開頭クリッピングにより治療されている. しかしながら, 未破裂動脈瘤については, ほとんどのbifurcation瘤において, 分枝のうちの1本が動脈瘤のネックまたはそれよりドーム側から起始する, いわゆる直接起始の血管構築をとる. また, やや大型瘤になると, 最外側の主として放線冠に向かう穿通枝が瘤壁に固着しているケースもあり, 合併症を起こさないためには, 高度な手術的スキルと複雑なクリップワークを要することも少なくない.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.49.351