筋から考えるむち打ち損傷関連障害(WAD)の理学療法

「はじめに」 むち打ち損傷関連障害(whiplash-associated disorder: 以下, WAD)は「自動車衝突事故, あるいは飛びこみ事故や偶発事故において, 後方あるいは側方からの衝撃により頸部にもたらされるエネルギー転移が加速-減速メカニズムで生じること」(ケベック報告)と定義され, 外傷性頸部症候群(traffic cervical syndrome)ともいう. WADの特徴として, 器質的損傷がなくても症状が出現することや, 器質的損傷があっても症状と一致しない場合があり, 理学療法に苦慮する場合も少なくない. 頸部外傷直後の急性期は頸椎カラーなどによる安静処方が一般的...

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Published in理学療法学 Vol. 41; no. 8; pp. 639 - 644
Main Authors 栗田, 泰成, 平野, 幸伸, 塚本, 敏也, 加藤, 倫卓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 20.12.2014
日本理学療法士協会
Japanese Society of Physical Therapy
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.kj00009647393

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Summary:「はじめに」 むち打ち損傷関連障害(whiplash-associated disorder: 以下, WAD)は「自動車衝突事故, あるいは飛びこみ事故や偶発事故において, 後方あるいは側方からの衝撃により頸部にもたらされるエネルギー転移が加速-減速メカニズムで生じること」(ケベック報告)と定義され, 外傷性頸部症候群(traffic cervical syndrome)ともいう. WADの特徴として, 器質的損傷がなくても症状が出現することや, 器質的損傷があっても症状と一致しない場合があり, 理学療法に苦慮する場合も少なくない. 頸部外傷直後の急性期は頸椎カラーなどによる安静処方が一般的で, 徒手的運動療法を実施する場面は少ない. 一方で, 亜急性期から回復期にかけては鎮痛のための物理療法や自動運動, 徒手療法などが適応とされる. 以下に, WADに関する知見とWADにおける筋肉の損傷に対する徒手治療について私見を交えながら述べる.
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.kj00009647393