未破裂脳動脈瘤術後の脳血管攣縮

「はじめに」脳神経外科手術において, 手術操作による機械的刺激で露出した動脈が血管攣縮をきたすことはよく知られている. くも膜下出血後の脳血管攣縮は脳血管撮影上, 約70%に認められ, 脳血管攣縮による症状出現(症候性脳血管攣縮)は20-30%程度に認められるが, 未破裂脳動脈瘤に対するクリッピング術後においても, まれながら症候性脳血管攣縮が生じることが報告されている. 当科では, 術中に塩酸パパベリンをくも膜下腔に散布し, 手術操作などの機械的刺激に起因する血管攣縮を解除し, 血管攣縮の発生を予防してきた. それにもかかわらず, 術後に症候性脳血管攣縮, 脳梗塞を呈した下記の2例を経験した...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 49; no. 5; pp. 343 - 350
Main Authors 黒﨑, 邦和, 梅澤, 邦彦, 木村, 聡志, 竹上, 徹郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2021
日本脳卒中の外科学会
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Summary:「はじめに」脳神経外科手術において, 手術操作による機械的刺激で露出した動脈が血管攣縮をきたすことはよく知られている. くも膜下出血後の脳血管攣縮は脳血管撮影上, 約70%に認められ, 脳血管攣縮による症状出現(症候性脳血管攣縮)は20-30%程度に認められるが, 未破裂脳動脈瘤に対するクリッピング術後においても, まれながら症候性脳血管攣縮が生じることが報告されている. 当科では, 術中に塩酸パパベリンをくも膜下腔に散布し, 手術操作などの機械的刺激に起因する血管攣縮を解除し, 血管攣縮の発生を予防してきた. それにもかかわらず, 術後に症候性脳血管攣縮, 脳梗塞を呈した下記の2例を経験した. この症例以後, 未破裂脳動脈瘤術後にはmagnetic resonance angiography(MRA)で脳血管攣縮の評価をすることとした. その結果, 新たな知見を得たので報告する.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.49.343