破裂椎骨解離性脳動脈瘤の血管内治療時の脳幹梗塞発生の因子

破裂椎骨解離性脳動脈瘤(VADA)の治療は,破裂部位を含めた直達術や血管内治療によるinternal coil trappingが第一選択となっている.当院では血管内治療によるinternal coil trappingを施行しているが,塞栓後の脳幹梗塞が大きな問題である.VADAの血管内治療時の脳幹梗塞発生について検討し報告する.2003年1月から2020年4月までに入院したVADAの61例を対象とした.internal coil trappingを施行しなかった症例,解離が脳底動脈に及ぶ症例,翌日にMRIを施行していない症例は除外した.除外例を除く52例を検討した.脳幹梗塞は13例(25%...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 51; no. 3; pp. 222 - 226
Main Authors 反町, 隆俊, 重松, 秀明, 平山, 晃大, キッティポン・スィーワッタナクン, 松前, 光紀, 横田, 和馬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2023
日本脳卒中の外科学会
Subjects
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.51.222

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Summary:破裂椎骨解離性脳動脈瘤(VADA)の治療は,破裂部位を含めた直達術や血管内治療によるinternal coil trappingが第一選択となっている.当院では血管内治療によるinternal coil trappingを施行しているが,塞栓後の脳幹梗塞が大きな問題である.VADAの血管内治療時の脳幹梗塞発生について検討し報告する.2003年1月から2020年4月までに入院したVADAの61例を対象とした.internal coil trappingを施行しなかった症例,解離が脳底動脈に及ぶ症例,翌日にMRIを施行していない症例は除外した.除外例を除く52例を検討した.脳幹梗塞は13例(25%)に生じた.VADAの長さとinternal coil trappingの長さは,相関係数は0.945(p<0.001)で,強く相関していた.脳幹梗塞が有意に多い因子は,脂質異常症の既往(p=0.016),none PICA type(p=0.001),internal coil trappingの長さが長い(p=0.006),VADAの長さが長い(p=0.002)であった.退院時のmRS 2以上の症例は,脳幹梗塞群10例(76.9%),非脳幹梗塞群12例(30.7%)で,脳幹梗塞群に有意に多かった(p=0.004).破裂VADAはinternal coil trappingが有効であるが,脳幹梗塞の発生は退院時mRSを悪化させる因子である.脳幹梗塞発生を抑えるためは,密に短い範囲で塞栓することが重要と考えられるが,本研究ではVADAの解剖学的所見によっては,短く密な塞栓を施行したとしても,脳幹梗塞を防ぐことができない可能性が示唆された.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.51.222