肩関節障害に対する理学療法
関節の機能障害の改善や疼痛の除去には, 問診をはじめとする様々な評価からその原因となる問題点を推察し, 適切な理学療法を行う必要がある. 問題点の把握には解剖学, 運動学などの基礎知識や動作の分析が必要となる. 肩関節障害を診る場合も肩関節の特徴を十分に理解し, アプローチすることが重要と思われる. 本稿では肩関節の特徴を整理し, 我々が行っている評価の考えと理学療法を紹介したい. 肩関節の特徴 1.肩複合体 肩関節は肩甲骨, 上腕骨, 鎖骨からなる複合関節であり, 解剖学的な関節として胸鎖関節, 肩鎖関節, 肩甲上腕関節がある. また, 他の関節と異なり第二肩関節, 肩甲胸郭関節が機能的に関...
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Published in | 理学療法学 Vol. 27; no. 8; pp. 323 - 328 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
30.11.2000
日本理学療法士協会 Japanese Society of Physical Therapy |
Subjects | |
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ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.KJ00001308648 |
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Summary: | 関節の機能障害の改善や疼痛の除去には, 問診をはじめとする様々な評価からその原因となる問題点を推察し, 適切な理学療法を行う必要がある. 問題点の把握には解剖学, 運動学などの基礎知識や動作の分析が必要となる. 肩関節障害を診る場合も肩関節の特徴を十分に理解し, アプローチすることが重要と思われる. 本稿では肩関節の特徴を整理し, 我々が行っている評価の考えと理学療法を紹介したい. 肩関節の特徴 1.肩複合体 肩関節は肩甲骨, 上腕骨, 鎖骨からなる複合関節であり, 解剖学的な関節として胸鎖関節, 肩鎖関節, 肩甲上腕関節がある. また, 他の関節と異なり第二肩関節, 肩甲胸郭関節が機能的に関節として表現されている. 信原はこれに烏口鎖骨靭帯で連結され, 鎖骨の動きに伴い肩甲骨が移動する関係をC-Cメカニズム(coracoclavicular mechanism)として表現している1-3). 胸鎖関節, 肩鎖関節では水平軸, 前額軸, 矢状軸の各方向で可動域を有しており, 胸鎖関節においては90℃以上の挙上で回旋運動を生じる. このことは鎖骨骨折や肩鎖関節脱臼に対する観血的療法で, ピンニング後の運動療法を行う際には考慮すべき点である. |
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ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.KJ00001308648 |