Dual energy CTを用いた機械的血栓回収術直後の頭蓋内出血の評価

近年,急性期脳主幹動脈閉塞に対する機械的血栓回収術(mechanical thrombectomy:MT)直後の頭蓋内出血(ICH)の評価に関して,dual energy CT(DECT)の有用性が報告されている.2019年3月から2020年7月までにMT直後にDECTを施行した16例を対象としてICHの評価と術後経過を検討し,当院での周術期管理について報告する.男性12例,女性4例,平均年齢は72.1歳,術前のNational Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)の中央値は17点で,tissue plasminogen activator(tPA)...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 51; no. 3; pp. 215 - 221
Main Authors 山本, 紘之, 荻田, 庄吾, 橋本, 直哉, 南都, 昌孝, 丸山, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2023
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.51.215

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Summary:近年,急性期脳主幹動脈閉塞に対する機械的血栓回収術(mechanical thrombectomy:MT)直後の頭蓋内出血(ICH)の評価に関して,dual energy CT(DECT)の有用性が報告されている.2019年3月から2020年7月までにMT直後にDECTを施行した16例を対象としてICHの評価と術後経過を検討し,当院での周術期管理について報告する.男性12例,女性4例,平均年齢は72.1歳,術前のNational Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)の中央値は17点で,tissue plasminogen activator(tPA)の静脈内投与を先行した症例は1例のみであった.modified Thrombolysis in Cerebral Infarction(mTICI)score 2b-3の有効再開通を得られたのは15例,再開通が得られなかったmTICI 0が1例であった.DECTの元画像で高吸収域を認めた症例は11例,そのうちICHと判定した症例は6例であった.ICHと判定した6例中,術直後にプロタミンを投与した3例では経時的なICHの拡大は認めず脳梗塞の再発も認めなかった.プロタミンを投与しなかった3例は経時的なICHの拡大を認め,2例は軽度の拡大であり1例は広範囲な拡大であった.DECTを撮像することで,MT後のICHを詳細に評価することが可能となる.治療成績の向上のためには術後早期にICHの合併を診断し,厳密な周術期管理を行うことが重要である.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.51.215