脳卒中患者における心理的QOL指標の構成概念妥当性の検討

本調査研究は,脳卒中患者における心理的QOL指標の構成概念妥当性を検討することを目的とした。調査対象は,岡山県K市内の医療機関に通院する脳卒中患者とした。調査に同意が得られ,発症から1年以上経過し明らかな知的衰退のない115名を集計対象として,指標について提起されている2つの因子モデルを共分散構造分析による確証的因子分析を用いて比較検討した。そして,最適とされた因子モデルの因子不変性について,同県S市内の高齢者227名との間で同時因子分析を行い検討した。また,主観的幸福感と関連が指摘される心身機能が指標の得点へ適切に反映されるかどうか検討した。その結果,9項目で構成された因子モデルがデータへの...

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Published in理学療法学 Vol. 27; no. 7; pp. 229 - 236
Main Authors 原田, 和宏, 齊藤, 圭介, 津田, 陽一郎, 香川, 幸次郎, 中嶋, 和夫, 高尾, 芳樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 30.11.2000
日本理学療法士協会
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Summary:本調査研究は,脳卒中患者における心理的QOL指標の構成概念妥当性を検討することを目的とした。調査対象は,岡山県K市内の医療機関に通院する脳卒中患者とした。調査に同意が得られ,発症から1年以上経過し明らかな知的衰退のない115名を集計対象として,指標について提起されている2つの因子モデルを共分散構造分析による確証的因子分析を用いて比較検討した。そして,最適とされた因子モデルの因子不変性について,同県S市内の高齢者227名との間で同時因子分析を行い検討した。また,主観的幸福感と関連が指摘される心身機能が指標の得点へ適切に反映されるかどうか検討した。その結果,9項目で構成された因子モデルがデータへの適合に優れ,加えて高齢者との間に因子構造の不変性を有することが支持された。また,心身機能と尺度得点との関係が先行研究の所見と整合するものであることが確認された。本研究結果から,脳卒中患者における心理的QOL指標(9項目)の構成概念妥当性が支持された。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00001308611