当院における急性期脳底動脈閉塞症に対する機械的血行再建術の治療成績

脳底動脈閉塞による急性期脳梗塞は, 非常に予後不良であるが, いまだ血栓回収療法の有効性や適応については確立していない. 今回われわれは当院での急性期脳底動脈閉塞症(BAO)に対する機械的血栓回収療法(MT)の転帰に寄与する因子を後方視的に検討した. 2014年1月から2019年6月までの66カ月間で, BAOに対して当院でMTを施行した連続13例(男性 8例, 平均 76歳)を対象とし, 背景因子および治療に伴う因子を後方視的に抽出し, 90日後転帰(modified Rankin Scale:mRS)を転帰良好群(mRS=0-2), 転帰不良群(mRS=3-6)の2群に分け, 各因子とその...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 50; no. 5; pp. 365 - 369
Main Authors 小原, 次郎, 藤本, 基秋, 杉田, 義人, 秋山, 義典, 谷, 正一, 井谷, 理彦, 設楽, 智史, 山下, 陽生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2022
日本脳卒中の外科学会
Subjects
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.50.365

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Summary:脳底動脈閉塞による急性期脳梗塞は, 非常に予後不良であるが, いまだ血栓回収療法の有効性や適応については確立していない. 今回われわれは当院での急性期脳底動脈閉塞症(BAO)に対する機械的血栓回収療法(MT)の転帰に寄与する因子を後方視的に検討した. 2014年1月から2019年6月までの66カ月間で, BAOに対して当院でMTを施行した連続13例(男性 8例, 平均 76歳)を対象とし, 背景因子および治療に伴う因子を後方視的に抽出し, 90日後転帰(modified Rankin Scale:mRS)を転帰良好群(mRS=0-2), 転帰不良群(mRS=3-6)の2群に分け, 各因子とその関連を検討した. TICI 2B以上の再開通率は91%で転帰良好群は31%となり, 死亡率は23%であった. 再開通までの平均時間は332分(140-720分)であり, 平均術前NIHSSは17点(3-30)であった. 背景因子と90日後転帰との関連をt検定で検討すると, 術前NIHSS 13点以下で転帰良好となることが示された(p=0.029). その他の因子は転帰と相関しない結果であった. 脳底動脈閉塞症に対する治療介入はNIHSSが13点以下であれば, 有意に90日後転帰を改善することがいえた. その他の因子に関しては, 今回の研究では有意な関連ではなかったが症例数の限界と考えられ, 今後症例の蓄積が望ましい.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.50.365