COVID-19パンデミック第一波での診療制限が輸血製剤使用量に与えた影響

2020年4月,新型コロナウイルスの感染拡大を受け,当院では一部の外来や手術を縮小する「診療制限」が行われた.この診療制限が輸血製剤使用量へ与えた影響を明らかにするため,調査および解析を行った.当院全体の手術実施件数は診療制限期間に著減したが,その多くは同種血使用量の少ない診療科であった.延期または中止となった手術には貯血式自己血採取後の症例も多く,期限切れによる廃棄量が増加した.一方で当院における同種血使用量の多くを占めている心臓外科手術の件数に変動はなく,同種血使用量の減少は限定的であった.制限解除後には特に造血幹細胞移植に関連した赤血球・血小板製剤の使用量が著増し,制限前の水準を上回った...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 69; no. 1; pp. 20 - 26
Main Authors 藤野, 恵子, 國﨑, 祐哉, 平安山, 知子, 堀田, 多恵子, 山口, 恭子, 赤司, 浩一, 榎本, 麻里
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 25.02.2023
日本輸血・細胞治療学会
Subjects
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.69.20

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Summary:2020年4月,新型コロナウイルスの感染拡大を受け,当院では一部の外来や手術を縮小する「診療制限」が行われた.この診療制限が輸血製剤使用量へ与えた影響を明らかにするため,調査および解析を行った.当院全体の手術実施件数は診療制限期間に著減したが,その多くは同種血使用量の少ない診療科であった.延期または中止となった手術には貯血式自己血採取後の症例も多く,期限切れによる廃棄量が増加した.一方で当院における同種血使用量の多くを占めている心臓外科手術の件数に変動はなく,同種血使用量の減少は限定的であった.制限解除後には特に造血幹細胞移植に関連した赤血球・血小板製剤の使用量が著増し,制限前の水準を上回った.以上より,当院の診療制限は,貯血式自己血の大量廃棄,制限解除後の同種血使用量増大という2つの影響を与えたことが明らかとなり,今後有事の際に対策を講じるべきポイントであると認識した.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.69.20