直視下頚動脈直接穿刺における吸収性局所止血材Floseal®の有用性
脳神経血管内治療では大腿動脈や上腕動脈からのアプローチが困難な場合,頚動脈直接穿刺法が有用なことがある.しかし,同穿刺法は止血法に問題があり,術後出血は重篤な合併症へつながる可能性がある.さらに,複数の抗血栓療法下に施行する場合も多く,より確実な止血が求められる.以前われわれは,頚動脈を露出して行う直視下頚動脈穿刺法の有用性を報告した.しかしながら,切開剝離した頚動脈の周囲軟部組織からの出血,いわゆるoozingのコントロールは必ずしも容易ではなく,皮下血腫をきたす可能性があった.吸収性局所止血材Floseal®は架橋ゼラチン粒子と乾燥ヒトトロンビンを原材料とした止血剤で,ヘパリン投与下でも止...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 50; no. 5; pp. 408 - 411 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
2022
日本脳卒中の外科学会 |
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Summary: | 脳神経血管内治療では大腿動脈や上腕動脈からのアプローチが困難な場合,頚動脈直接穿刺法が有用なことがある.しかし,同穿刺法は止血法に問題があり,術後出血は重篤な合併症へつながる可能性がある.さらに,複数の抗血栓療法下に施行する場合も多く,より確実な止血が求められる.以前われわれは,頚動脈を露出して行う直視下頚動脈穿刺法の有用性を報告した.しかしながら,切開剝離した頚動脈の周囲軟部組織からの出血,いわゆるoozingのコントロールは必ずしも容易ではなく,皮下血腫をきたす可能性があった.吸収性局所止血材Floseal®は架橋ゼラチン粒子と乾燥ヒトトロンビンを原材料とした止血剤で,ヘパリン投与下でも止血効果が報告されており,これを閉創の際に用いることとした.アクセスルートに問題があり,直視下頚動脈穿刺法にて頚動脈ステント留置術またはコイル塞栓術を施行した4例を対象とした.術前より抗血小板2剤を服用し,術中はヘパリン静注し抗血栓療法を行った.ステント留置またはコイル塞栓術後,閉創時に剝離した軟部組織にFloseal®を塗布した.全例で術後,創部に後出血を呈することなく経過した.抗血栓療法下であっても閉創の際にFloseal®を用いることでoozingのコントロールが可能となり,皮下血腫をきたすことなく手技を行うことができ有用であった. |
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ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs.50.408 |