発症後1年以降の脳卒中患者におけるADL能力の低下量の予測に関する検討
脳卒中の長期機能予後の研究において慢性期にはADL能力が低下すると指摘されることが少なくない。本稿はADL低下に関連が指摘される要因によって低下の程度も予測できるかどうかという研究疑問に対して,発症から1年以上経た脳卒中生存者を対象とした縦断調査データを用いて探索的に検討することを目的とした。分析対象は屋外歩行が可能で知的低下のない在宅脳卒中患者60名(平均71.4歳,男性36名)で,ADL低下は調査開始時点と1年後の変化量を用いて潜在曲線モデルにて検討した。関連要因はADL低下の発現に対するオッズ比にて検討した。予測モデルの評価はデータの適合度,関連要因への回帰係数,ADL変化量に対する決定...
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Published in | 理学療法学 Vol. 30; no. 6; pp. 323 - 334 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
20.10.2003
日本理学療法士協会 |
Subjects | |
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Summary: | 脳卒中の長期機能予後の研究において慢性期にはADL能力が低下すると指摘されることが少なくない。本稿はADL低下に関連が指摘される要因によって低下の程度も予測できるかどうかという研究疑問に対して,発症から1年以上経た脳卒中生存者を対象とした縦断調査データを用いて探索的に検討することを目的とした。分析対象は屋外歩行が可能で知的低下のない在宅脳卒中患者60名(平均71.4歳,男性36名)で,ADL低下は調査開始時点と1年後の変化量を用いて潜在曲線モデルにて検討した。関連要因はADL低下の発現に対するオッズ比にて検討した。予測モデルの評価はデータの適合度,関連要因への回帰係数,ADL変化量に対する決定係数,および予測精度で行った。検討の結果,標本データとの適合は良く,年齢,下肢の中枢性運動麻痺の程度,屋外歩行の頻度は,移動を主とするADL能力の低下の予測に役立った。予測の精度は優れ(r = 0.9),高年齢で運動麻痺が重度な者ほどADL低下が急速に起こり,屋外歩行の頻度が高い者ほどADL低下を緩やかにすると解釈された。構成した予測モデルは臨床経験則に照らしても妥当であり,脳卒中慢性期におけるADL低下の個体差の予測可能性が示唆された。 |
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ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.KJ00001019822 |