心筋梗塞後の治療抵抗性の心室細動に対するカテーテルアブレーション

心筋梗塞後に反復性に生じる心室細動は,生命予後に悪影響を及ぼす致死性不整脈である.血行再建,抗不整脈薬,人工呼吸管理下での深鎮静や,循環補助装置挿入による全身管理等の様々な治療にもかかわらず,心室細動が抑制されない場合,カテーテルアブレーションが緊急避難治療となりうる.心筋梗塞後に発症する心室細動の多くは,虚血で障害された左室中隔のscar border zoneのPurkinje networkを起源としていることが確認された.心室細動が治療抵抗性の場合,できる限り早急に行うアブレーション治療が多くの症例で奏功したが,心室細動が抑制されない症例の多くは院内死亡に至った.急性期に心室細動が抑制...

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Published in心電図 Vol. 43; no. 4; pp. 235 - 241
Main Author 小松, 雄樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 22.12.2023
日本不整脈心電学会
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.43.235

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Summary:心筋梗塞後に反復性に生じる心室細動は,生命予後に悪影響を及ぼす致死性不整脈である.血行再建,抗不整脈薬,人工呼吸管理下での深鎮静や,循環補助装置挿入による全身管理等の様々な治療にもかかわらず,心室細動が抑制されない場合,カテーテルアブレーションが緊急避難治療となりうる.心筋梗塞後に発症する心室細動の多くは,虚血で障害された左室中隔のscar border zoneのPurkinje networkを起源としていることが確認された.心室細動が治療抵抗性の場合,できる限り早急に行うアブレーション治療が多くの症例で奏功したが,心室細動が抑制されない症例の多くは院内死亡に至った.急性期に心室細動が抑制され,生存退院できた場合,長期観察期間においては心室細動の再発は少ない一方,生命予後に関しては心臓血管死と非心臓血管死を同程度に認め,心不全やその他合併疾患の管理が重要であることが示された.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.43.235