嚥下と呼吸の相互連関に関する研究

嚥下第2相では,呼吸運動と特に密接な関係が必要であると考えられている。そこでフォーストランスジューサおよび呼吸ピックアップセンサーを用いて,喉頭運動曲線,呼吸曲線を記録し,嚥下と呼吸の相互連関について検討した。嚥下時には安静呼吸に比較して,小さな呼吸が喉頭挙上に同期して生じた。この呼吸と喉頭運動の時間的相互連関を明らかにすることによって,正常嚥下の生理学的反応を推定した。その結果,喉頭挙上の開始直後に嚥下呼吸が発生し,喉頭が降下開始後に嚥下呼吸は呼息相に移行した。これは喉頭が挙上した後に嚥下呼吸の吸息が生じることによって気道内圧が下降し,気道閉鎖を完全な状態とすることを意味すると推測された。ま...

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Published in理学療法学 Vol. 24; no. 4; pp. 218 - 224
Main Authors 藤野, 英己, 祢屋, 俊昭, 武田, 功
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 31.05.1997
日本理学療法士協会
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Summary:嚥下第2相では,呼吸運動と特に密接な関係が必要であると考えられている。そこでフォーストランスジューサおよび呼吸ピックアップセンサーを用いて,喉頭運動曲線,呼吸曲線を記録し,嚥下と呼吸の相互連関について検討した。嚥下時には安静呼吸に比較して,小さな呼吸が喉頭挙上に同期して生じた。この呼吸と喉頭運動の時間的相互連関を明らかにすることによって,正常嚥下の生理学的反応を推定した。その結果,喉頭挙上の開始直後に嚥下呼吸が発生し,喉頭が降下開始後に嚥下呼吸は呼息相に移行した。これは喉頭が挙上した後に嚥下呼吸の吸息が生じることによって気道内圧が下降し,気道閉鎖を完全な状態とすることを意味すると推測された。また,“むせ”の状態では嚥下呼吸が喉頭挙上に先行した。さらに,姿勢による影響について背臥位(頸中間位,頸前屈位,頸後屈位)で測定し,比較検討した。一方,この測定方法が嚥下の定量的評価として有用かについても考察を加えた。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00001307945