慢性痛の問題点と今後の取り組み
「はじめに」 「1. 施す医療と支える医療」 古代ギリシャの医者で「医学の父」として知られるヒポクラテスは(紀元前460~紀元前370年ごろ), 痛みを取り除く仕事を「聖なる仕事」と呼んだ. 医術とは, 「病気による痛みや苦痛を取り除き, 病気の勢いを鎮め, 病気に負けた人を救うことである」と唱えたという. この頃から医療者は, 医療行為を「授ける」「施す」という役割を担ってきた. 手術の痛みは, 麻酔を「施す」ことによってほぼ克服された. 同様に, 膝や股関節をはじめ慢性の関節痛は, 手術を「施す」ことによってかなり克服できるようになった. しかし, 現実には「施す」医療で克服できない痛みは...
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Published in | 理学療法学 Vol. 41; no. 8; pp. 699 - 705 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
20.12.2014
日本理学療法士協会 Japanese Society of Physical Therapy |
Subjects | |
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ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.kj00009647402 |
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Summary: | 「はじめに」 「1. 施す医療と支える医療」 古代ギリシャの医者で「医学の父」として知られるヒポクラテスは(紀元前460~紀元前370年ごろ), 痛みを取り除く仕事を「聖なる仕事」と呼んだ. 医術とは, 「病気による痛みや苦痛を取り除き, 病気の勢いを鎮め, 病気に負けた人を救うことである」と唱えたという. この頃から医療者は, 医療行為を「授ける」「施す」という役割を担ってきた. 手術の痛みは, 麻酔を「施す」ことによってほぼ克服された. 同様に, 膝や股関節をはじめ慢性の関節痛は, 手術を「施す」ことによってかなり克服できるようになった. しかし, 現実には「施す」医療で克服できない痛みはまだ数多く残っている. たとえば, 国民の有訴率で常に1位を占める腰痛は, その80%以上が非特異的であり原因を特定することはできず, 後述するように膨大な医療費を消費しても克服することは困難である. |
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ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.kj00009647402 |