DNAH8 による線毛機能不全症候群を背景とした慢性鼻副鼻腔炎例

線毛機能不全症候群 (PCD) は線毛に関連する遺伝子のバリアントによって起こる先天性疾患である. PCD 患者は慢性鼻副鼻腔炎, 気管支拡張症, 内臓逆位, 不妊, 滲出性中耳炎など多彩な臨床症状を呈する. PCD を背景とした慢性鼻副鼻腔炎は時に難治である. 今回, 難治性の鼻副鼻腔炎から PCD が疑われ, 遺伝学的検査を行った. これにより, DNAH8 の2つのヘテロのバリアントが判明した. バリアントは NM_001206927.1(DNAH8): c. 11285G>A(; )c. 11510G>A であり, p. Gly3762Asp(; )Arg3837Gln な...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 125; no. 9; pp. 1384 - 1389
Main Authors 鈴村, 美聡, 松脇, 由典, 竹内, 万彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 20.09.2022
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2436-5793
2436-5866
DOI10.3950/jibiinkotokeibu.125.9_1384

Cover

More Information
Summary:線毛機能不全症候群 (PCD) は線毛に関連する遺伝子のバリアントによって起こる先天性疾患である. PCD 患者は慢性鼻副鼻腔炎, 気管支拡張症, 内臓逆位, 不妊, 滲出性中耳炎など多彩な臨床症状を呈する. PCD を背景とした慢性鼻副鼻腔炎は時に難治である. 今回, 難治性の鼻副鼻腔炎から PCD が疑われ, 遺伝学的検査を行った. これにより, DNAH8 の2つのヘテロのバリアントが判明した. バリアントは NM_001206927.1(DNAH8): c. 11285G>A(; )c. 11510G>A であり, p. Gly3762Asp(; )Arg3837Gln なるアミノ酸配列の変化を引き起こすと推定されるミスセンスのバリアントであった. DNAH8 は原因遺伝子の中の割合はまれなものであり, 本邦での1例目の報告である.
ISSN:2436-5793
2436-5866
DOI:10.3950/jibiinkotokeibu.125.9_1384