Anterior temporal arteryに生じた非解離性紡錘状動脈瘤破裂によるくも膜下出血の1例

69歳女性が意識障害を主訴に救急搬送され,CTで脳内血腫を伴うFisher group 3のくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage:SAH)を認めた.脳血管撮影(digital subtraction angiography:DSA)でanterior temporal artery(ATA)に紡錘状動脈瘤を認め,脳動脈瘤破裂によるSAHと診断し,当日にtrapping and resectionを施行した.紡錘状動脈瘤はおもに椎骨脳底動脈に好発し,原因としては脳動脈解離が多くを占める.ATAに紡錘状動脈瘤が生じることはまれであり,これまでに病理組織学的に脳動脈解離が否定...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 52; no. 2; pp. 105 - 110
Main Authors 齊藤, 諒三, 園田, 順彦, 佐藤, 和彦, 五十嵐, 晃平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2024
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.52.105

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Summary:69歳女性が意識障害を主訴に救急搬送され,CTで脳内血腫を伴うFisher group 3のくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage:SAH)を認めた.脳血管撮影(digital subtraction angiography:DSA)でanterior temporal artery(ATA)に紡錘状動脈瘤を認め,脳動脈瘤破裂によるSAHと診断し,当日にtrapping and resectionを施行した.紡錘状動脈瘤はおもに椎骨脳底動脈に好発し,原因としては脳動脈解離が多くを占める.ATAに紡錘状動脈瘤が生じることはまれであり,これまでに病理組織学的に脳動脈解離が否定され,動脈硬化性紡錘状動脈瘤と診断された報告はない.治療は直達手術が選択される傾向にあり,ATAに血行再建を併用した報告は少数であった.ATAは閉塞により重篤な神経障害は後遺しないとの報告もあるが,灌流域にはvariationがあり,DSAによる詳細な術前検討が必要である.ATAの紡錘状動脈瘤はまれではあるが,鑑別すべき疾患の1つである.特に良好な転帰が期待される症例では,治療時にATA灌流域の血流温存を考慮すべきであり,適切な治療を模索することは今後の課題である.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.52.105