在宅脳卒中患者における心理的QOLと障害に関する検討

本研究は,地域で暮らす脳卒中患者の心理的QOLに障害がどのように影響しているかを明らかにすることを目的に,障害構造モデルから手段的ADLと社会的活動を取り上げ,構造方程式モデリングを用いて検討した。岡山県下の1医療機関に外来通院する脳卒中患者を調査対象とし,調査に同意が得られ知的低下のない134名を集計対象とした。最初に「手段的ADL」と「社会的活動」に関する測定モデルについて確証的因子分析を用い脳卒中患者における使用の適切性を検討した。社会的活動については,既存尺度がないことから在宅高齢者データを併用して内容的妥当性を予め検討した。次いで「心理的QOL」と「手段的ADL」および「社会的活動」...

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Published in理学療法学 Vol. 28; no. 5; pp. 211 - 219
Main Authors 原田, 和宏, 齋藤, 圭介, 津田, 陽一郎, 香川, 幸次郎, 中嶋, 和夫, 高尾, 芳樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 31.07.2001
日本理学療法士協会
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Summary:本研究は,地域で暮らす脳卒中患者の心理的QOLに障害がどのように影響しているかを明らかにすることを目的に,障害構造モデルから手段的ADLと社会的活動を取り上げ,構造方程式モデリングを用いて検討した。岡山県下の1医療機関に外来通院する脳卒中患者を調査対象とし,調査に同意が得られ知的低下のない134名を集計対象とした。最初に「手段的ADL」と「社会的活動」に関する測定モデルについて確証的因子分析を用い脳卒中患者における使用の適切性を検討した。社会的活動については,既存尺度がないことから在宅高齢者データを併用して内容的妥当性を予め検討した。次いで「心理的QOL」と「手段的ADL」および「社会的活動」との因果関係を示す構造方程式モデルを構成し解析した。その結果,モデル全体が脳卒中患者のデータに適合し,社会的活動が心理的QOLに影響を及ぼし,手段的ADLは社会的活動を介して間接的に影響することが示された。以上の結果から,今後の研究モデルとして社会生活に関する要因をQOLの1次要因,個人の能力に関する要因を2次要因として構造化することの妥当性が示唆された。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00003131751