数値流体力学を用いた血行力学による未破裂脳動脈瘤壁性状の検討

未破裂脳動脈瘤の壁性状が術前に予測できれば,治療の必要性の検討ならびに開頭クリッピング術や脳動脈瘤コイル塞栓術をより安全に行うための有用な情報となる.しかし,現在の神経画像技術から脳動脈瘤の壁性状を予測することは困難である.そこで,数値流体力学(computational fluid dynamics: CFD)による血行力学的パラメータと壁性状の関連を比較し,未破裂脳動脈瘤の壁性状が予測可能か検討した.開頭クリッピング術を行った未破裂脳動脈瘤のうち,術前3D-CTAが施行された連続41例45動脈瘤を対象として患者固有形状モデルを作成し,Hemoscope(EBM, Tokyo, Japan)...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 51; no. 5; pp. 405 - 410
Main Authors 市川, 尚己, 三浦, 洋一, 石田, 藤麿, 古川, 和博, 荒木, 朋浩, 鈴木, 秀謙, 南, 紀夫, 中野, 響子, 南部, 友昭, 福田, 剛史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2023
日本脳卒中の外科学会
Subjects
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.51.405

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Summary:未破裂脳動脈瘤の壁性状が術前に予測できれば,治療の必要性の検討ならびに開頭クリッピング術や脳動脈瘤コイル塞栓術をより安全に行うための有用な情報となる.しかし,現在の神経画像技術から脳動脈瘤の壁性状を予測することは困難である.そこで,数値流体力学(computational fluid dynamics: CFD)による血行力学的パラメータと壁性状の関連を比較し,未破裂脳動脈瘤の壁性状が予測可能か検討した.開頭クリッピング術を行った未破裂脳動脈瘤のうち,術前3D-CTAが施行された連続41例45動脈瘤を対象として患者固有形状モデルを作成し,Hemoscope(EBM, Tokyo, Japan)による定常解析を行い,剪断応力(wall shear stress: WSS)を評価し壁性状との関連を検討した.Normalized WSS(NWSS)が低くWSSベクトルが衝突する部分では,18カ所中15カ所(83.3%)で白く厚い瘤壁であった.一方NWSSが高い部位では,36カ所中26カ所(72.2%)で赤く薄い瘤壁であった.CFD定常解析により,未破裂脳動脈瘤の壁性状を予測できる可能性が示唆された.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.51.405